高橋光成、成長した姿を見せるために――エースで臨む2度目の国際大会

沢井史

メジャースカウトをうならせた初戦の投球

U18アジア選手権の初戦、フィリピン戦に先発した高橋光。ストレートを主体に5回2安打無失点、メジャースカウトたちもうなった 【Getty Images】

 1日に開幕した第10回BFA 18Uアジア野球選手権大会。日本は、初戦のフィリピン戦を11−0、スリランカに20−0、中国に11−0で快勝し、決勝ラウンド進出を1位通過で決めた。選出されたすべての投手が登板し、完封リレー。昨年の世界選手権では米国に敗れ惜しくも準優勝に終わった18U代表チーム。現チームのメンバーの中で、唯一その悔しさを体感しているのが高橋光成(前橋育英高・3年)だ。

 昨年から培ってきた高校野球でのキャリアなども含め、高橋広監督(鳴門渦潮高)がエースに指名。初戦のフィリピン戦では4回に2連打を浴びるも、63球中60球はストレートで押し切った。視察に来たメジャーのスカウトをうならせる堂々としたピッチングで7奪三振、無四球にまとめ、2番手の森田駿哉(富山商高・3年)にマウンドを託した。

「相手は別として(1年ぶりの国際大会のマウンドは)懐かしさを感じました。去年は気持ちに余裕がなかったけれど、今は良い意味でリラックスできているし、(同級生が多い分)雰囲気に溶け込めていると思います」

何もできなかった1年前の記憶

昨年の18U世界選手権は直前の甲子園での疲労もあり思うようなピッチングができなかった高橋光。今大会はアジアナンバーワンを勝ち取るため、エースとしてチームをけん引する 【写真は共同】

 県大会では3回戦で健大高崎高に2−6で敗退。以降は体を休めながら練習は続けてきた。26日からのメンバー招集に先駆け、前日の25日には甲子園で大阪桐蔭高と三重高の決勝戦も観戦。1年前の鮮烈な記憶をよみがえらせ、モチベーションを高めながら臨んだ2度目の国際大会でもあった。

 昨年は甲子園で優勝した直後の選考だっただけに疲労が隠せなかった。ベネズエラ戦で16奪三振の快投を見せた安楽智大(済美高・3年)に比べ、何もできなかった自分に、いら立ちすら感じたのかもしれない。

 長かった冬はケガなどもあり思うような練習メニューをこなせたわけではないが、ウエイトトレーニングだけは欠かさず行ってきた。1年後は背が高い(188センチ)わりに下半身がガッチリ。スピードもコンスタントに140キロ半ばが出るようになった。

「(太もものサイズは)ちゃんと計っていないので分かりませんが、ユニホームのサイズはLからXOになりました」とトレーニングの成果がはっきりと表れていることを感じている。

アジアNo.1を懸けて

 決勝ラウンドでは準決勝でチャイニーズ・タイペイと激突(日本時間5日11時試合開始)。そこで勝利すれば決勝戦は宿敵・韓国との対戦の可能性が高い。どちらの試合での先発になるかは未定だが、いずれにせよアジアでナンバーワンを勝ち取るためには重要なマウンドになる。

 昨年とは違う姿を見せるために――。日の丸を背負った背番号18は「去年とは違う気持ちでやれていて、すごく楽しみ。自分は(味方が)相手より1点でも多く点を取れるようなピッチングをするだけです」。そう言うと笑顔だった表情が、最後は引き締まった。
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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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