村井チェアマン「まだ努力が足りない」=横浜FMの差別行為について
横浜FMの差別行為について処分を発表する村井チェアマン 【スポーツナビ】
「啓発活動が十分でなかった」
村井満(Jリーグチェアマン)
8月23日の横浜F・マリノスvs.川崎フロンターレ戦で、横浜FMのサポーターがバナナを掲げる差別行為を行いました。本人もサッカー場におけるバナナというものが、差別的な行為にあたることを認識していました。挑発行為を受けた選手、川崎フロンターレの関係者やファン・サポーターの皆さま、また不快な思いをされた多くの皆さまに深くお詫び申し上げます。
■対象事案
2014年8月23日(土)19:00 キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場にて行われた、Jリーグディビジョン1第21節「横浜F・マリノスvs.川崎フロンターレ」の試合において、横浜FMのゴール裏サポーター1名が、川崎の選手に対し、バナナを掲げ、振る挑発行為があった。
■制裁内容
(1)けん責 (始末書をとり、将来を戒める)
(2)制裁金500万円
■制裁の理由
横浜FMサポーターが試合中に相手チームの選手に対しバナナを掲げ、振った挑発行為は、国際社会では人種差別を象徴する許されがたい行為であり、実行者はそのことを認識していた。本行為は人種差別的行為といえる。
横浜FMは当該試合が神奈川ダービーであることから事前にサポータートラブルの発生を想定し、ソーシャルメディアを中心とする監視体制を強化しており、本件を素早く把握するとともに、発生後は速やかに実行者を特定し、事実関係を確認した上で無期限入場禁止処分を科し発表した。また川崎に対しても速やかに謝罪を行った。これらにより、横浜FMの当該試合に対する監視体制や本件発生後の対応は適切であったといえる。しかしながら、クラブは人種差別的行為の発生を予防する高度な責務を負うところ、クラブのファン・サポーターへの啓発活動が十分であったとは言えず、たとえ本件が当該サポーターの単独行為であり、クラブとして予見することが困難であったとしても、啓発をつくして本件の発生を予防すべき義務をつくさなかった責任はクラブにある。
国際サッカー連盟(FIFA)は、2013年5月の総会で「反人種差別・差別に関する戦い」に関して決議し、同年7月にFIFA加盟各国協会に対して規定を整備する等の適切な対処を求めた。日本サッカー協会(JFA)は同年11月に規定を整備し、JFA加盟団体に対して周知徹底した。これを受け、Jリーグにおいても、クラブに対する啓発活動やトラブル発生時の諸手続きを定めるなどの対策を実施してきた。
また、本年3月には埼玉スタジアムにて浦和レッズの一部サポーターが人種差別的な横断幕を掲出し、当該クラブは無観客試合というJリーグ史上最も重い制裁を受けた。その後Jリーグと全クラブは2度と同様のことを繰り返さないことを宣言し、差別撲滅に向けた啓発活動強化に取り組んできたが、短期間で同種の本件行為が発生したことは看過できない。
上記より、本件制裁を決定するものとする。