八重樫東との大一番に挑むロマゴンの強さ=39戦無敗の軽量級最強ボクサーとは!?
華麗さと破壊力を兼備したコンビネーション
昨年11月には八重樫が判定勝ちしたオスカル・ブランケットを2ラウンドで一蹴したゴンサレス 【t.SAKUMA】
「チョコラティートの速くて、強くて、たくさんのパンチをお見せする」は、ゴンサレスの決まり文句だが、特に流れるような華麗さと破壊力を兼ね備えたコンビネーションは両者の共通点だろう。
ゴンサレスの公開練習を見るたび、いつも感心させられるのがシャドーボクシングだ。上体の余計な上下動がほとんどなく、滑るようにキャンバスを動き回り、両の拳を多彩な角度から繰り出し続ける。打ち出しは小さく、フォロースルーのしっかり利いた強打を次から次とつなげられるのは、このバランス感覚があるからか、と納得できた。
ゴンサレスのプレッシャーは一見、緩やかだが、位置取りの巧みさに加え、上下によどみなくつながるパンチの一つひとつが強力だから、対戦相手は後退し、連打の波にのみ込まれてしまう。そうして相手の心身を着実に削り取り、最後はきっちりフィニッシュする。それがゴンサレスの基本的なパターンだ。
フライ級での王座獲得が真の最強への道
「とても一生懸命に戦い、非常に我慢強い」
それがゴンサレスの日本人ボクサー評。あながち社交辞令とも言い切れないと思うのは、数少ない6つの判定勝利のうち、3分の1に当たる2つまでが、日本の松本博志(角海老宝石)や高山勝成(真正=当時)が相手だったからであり、クールな新井田がそれまでにない熱さを見せたからでもある。いくつもの激闘や苦境を乗り越えてきた強靭な精神力は八重樫の最大の武器であり、接戦に持ち込めば持ち込むほど、勝敗を分ける要素にもなってくる。八重樫の勝機はきっと、その先にある。
3階級制覇は果たさなければいけない約束
「3階級制覇という目標はアルゲリョとのプロセスの中で生まれてきたもので、ミニマム級で王者になったときからの夢だった。神様のおかげで私は今、彼と同じ道を歩もうとしている。これは果たさなければならない約束だ」
その思いは「(八重樫との試合は)とてもタフで難しい試合になると覚悟している」というゴンサレスの支えとなるだろう。信心深い彼の言葉を借りるなら、最後に神様が許したほうの手が上がるということなのかもしれない。
すべては9月5日、東京・国立代々木競技場第二体育館で答えが出る――。