HIROYA弟の大雅が無敗のまま高校生王者に=「Krush.45」名古屋大会リポート

中村拓己

兄HIROYAも肩車で弟を祝福

9戦9勝と無敗のままKrush−55キロ級王座戴冠を果たし、兄HIROYAに祝福される大雅 【中村拓己】

 24日、愛知・名古屋国際会議場イベントホールで「Krush.45 〜in NAGOYA〜」が開催された。

 今年は月1ペースで後楽園大会を開催し、8月の後楽園大会は前売り&立ち見チケットが完売するなど盛り上がりを見せているKrush。一昨年、昨年に引き続き、今夏も名古屋大会が行われ、後半5試合では恒例となった「NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ」で名古屋と東京の精鋭たちが激突した。

 対抗戦の大将戦はKrush−55kg級タイトルマッチ、王者・瀧谷渉太vs.挑戦者・大雅の一戦だ。瀧谷はKrush−55kgで2度の戴冠歴を持ち、現在は第2代王者として君臨。5月に初防衛を果たしており、この階級の“絶対王者”となりつつある存在だ。一方の大雅はHIROYAの実弟として、2012年にプロデビュー、ここまで8戦8勝と無敗街道を突き進む18歳の現役高校生だ。

 これまでの実績・キャリアから瀧谷に分があるかと思われたが、大雅は1Rから躍動する。鋭い左ストレートと右フックで前に出てくる瀧谷と打ち合う場面では打ち合い、タイミングを見て飛びヒザ蹴りも発射。2Rに入ると右フックで瀧谷に尻餅ををつかせる場面も。

 そして瀧谷が左ストレートから一気に連打で距離を詰めると、大雅も同じように打ち合い、最後は左フックを叩き込んで、先に王者からダウンを奪う。再開後、瀧谷が猛反撃に出ても、大雅はしっかりとパンチをかわして、カウンターの右フックをヒットさせた。

 3Rに入ると逆転を狙う瀧谷が、さらに手数を増やして前進。しかし大雅は距離が詰まると首相撲の要領で瀧谷を崩し、追撃をシャットアウトする。その後も大雅は瀧谷の猛追を右フック、飛びヒザ蹴り、ミドルキックで迎え撃って譲らない。そのまま試合終了となり、判定3−0で瀧谷に勝利した大雅が、無敗のまま第3代ー55kg級王座を獲得。試合後、ベルトを腰に巻いた大雅は兄HIROYAに肩車で祝福された。

亡き友へ誓った王座戴冠!次は寺戸との統一戦へ

大雅(左)は実績、キャリアで上回る“絶対王者”瀧谷と果敢な打ち合いを披露し、念願のベルトを手繰り寄せた 【中村拓己】

 新王座に就いた大雅は「チャンピオンになれたのはみんなのおかげです。高校最後の夏休み、何もかも我慢して本気で練習して、それがいい方向に出たと思います。ジムのみんな、友だち、応援してくれる人たち、本当にありがとうございます」と周囲の人たちに感謝。また「去年、友だちが亡くなって、そいつの分まで頑張ろうと決めて、キツい時にはそいつのことを思い出して頑張れました。チャンピオンになることが出来て、ちょっとは約束を果たせたと思います」と王座獲得を亡き友に捧げた。

 試合については「瀧谷選手から絶対に負けられないという気持ちが伝わってきて、最後まで気を緩められなかった」という大雅だが「最初にパンチをもらって鼻血が出たり、危なかったところもあったけど、パンチは見えていたので、特に効いたパンチはなかった。ジャブでペースを取ることが出来て、自信を持って戦うことが出来ました」と振り返った。

 Krush−55kgの最強王者・瀧谷の牙城を崩した大雅は、勝利の余韻に浸ることなく、次の相手としてISKA世界バンタム級王者・寺戸伸近を逆指名。「弱い外国人選手としかやっていない。自分と寺戸選手の試合を見たい人もいるだろうし、面白いんじゃないかなと思う」と挑発的な言葉を織り交ぜながら、寺戸との対戦をアピール。さらに「お互いのベルトをかけてやったらいい」とKrushとISKAの統一戦もぶちあげた。

木村が戦慄のKO勝利!佐藤嘉洋は貫禄勝ち

名古屋vs.東京の対抗戦に副将で参戦したベテラン佐藤嘉洋(左)はたくみな試合運びで貫禄の判定勝ちを収めた 【中村拓己】

 対抗戦で最もインパクトを残したのは中堅戦に登場した木村ミノルだ。19戦15勝13KOという驚異的なKO率を誇る木村は富平禎仁から合計4度のダウンを奪ってKO勝利。マットに大の字に倒れた富平が担架で運ばれる戦慄のKO劇となり、試合後、木村は「今日、言うことは一つだけ。そろそろ俺をK−1に出せよ!」と11月3日に行われるK−1 WORLD LEAGUEへの出場を宣言した。

 その他の試合では名古屋勢が強さを見せつけた。先鋒戦で石橋真幸が指首祐太に勝利すると、次鋒戦では“名古屋のお祭り男”泰斗がユウキ・テイル・旬のパンチでぐらつきながらも、最後は右ストレートで逆転KO勝利して会場を沸かせる。副将戦で山崎陽一を迎え撃った佐藤嘉洋は1Rからパンチ&ヒザ蹴りで山崎を攻め込み、最後は手数で山崎を圧倒。改めてその強さを見せつける判定勝利を収めた。

 5戦5勝とはならなかったものの、今年も3勝2敗で名古屋勢が対抗戦に勝利。3年連続で勝ち越す結果に終わった。また大会終了後には来年8月22日(日)名古屋国際会議場イベントホールにて、4年連続となる名古屋大会の開催が発表された。数々の名勝負や番狂わせが起こる名古屋大会、来年も夏のビッグイベントになりそうだ。

試合結果

木村ミノル(左)は4度のダウンを奪って戦慄のKO勝利 【中村拓己】

■「Krush.45〜in NAGOYA〜」
8月24日(日)愛知・名古屋国際会議場イベントホール

<第10試合 NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ大将戦 Krush −55kg級タイトルマッチ 3分3R・延長1R>
[王者]●瀧谷渉太(KSS健生館)
(判定0−3※28−30、27−30、28−29)
[挑戦者]○大雅(TRY HARD GYM)
※大雅が新王者に

<第9試合 NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ副将戦 Krush −70kg Fight 3分3R・延長1R>
○佐藤嘉洋(名古屋JKファクトリー)
(判定3−0※30−29、30−28、30−27)
●山崎陽一(シルバーウルフ)

<第8試合 NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ中堅戦 Krush −65kg Fight 3分3R・延長1R>
●富平禎仁(正道会館)
(2R2分28秒 KO)
○木村ミノル(Fighting Kairos/マイウェイジム)

<第7試合 NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ次鋒戦 Krush −65kg Fight 3分3R・延長1R>
○泰斗(GET OVER)
(1R2分11秒 KO)
●ユウキ・テイル・旬(ドラゴンテイル)

<第6試合 NAGOYA×TOKYO・5対5マッチ先鋒戦 Krush −58kg Fight 3分3R・延長1R>
○石橋真幸(名古屋JKファクトリー) 
(判定3−0※29−28、29−28、30−28)
●指首祐太(STRUGGLE)

<第5試合 −61kg契約 3分3R>
○東本央貴(MAD MAX GYM)
(2R2分1秒 KO)
●平塚大士(チームドラゴン)

<第4試合 女子 −54kg契約 2分3R>
●大石綾乃(OISHI GYM) 
(判定0−3※28−30、28−30、27−30)
○谷山佳菜子(正道会館)

<第3試合 Krush −55kgFight 3分3R>
●磯部 心(Splash)
(3R2分2秒 TKO)
○伊澤波人(チームドラゴン)

<第2試合 Krush −58kg Fight 3分3R>
△MAN☆五郎(大和ジム)
(判定0−0※28−28、28−28、28−28)
△林 健太(チームドラゴン)

<第1試合 Krush −55kg Fight 3分3R>
○祐☆トーン・エー(真樹ジムAICHI)
(1R1分22秒 KO)
●日下部太市郎(WATANABE GYM)

<オープニングファイト第3試合 Krush −58kg Fight 3分3R>
●嶋田将典(イングラム)
(2R2分13秒、KO)
○翔也(チームドラゴン)

<オープニングファイト第2試合 Krush −65kg Fight 3分3R>
○早坂太郎(名古屋JKファクトリー)
(判定3−0※28−27、28−27、28−27)
●前田 修(GET OVER)

<オープニングファイト第1試合 −57kg契約 3分3R>
○倉崎昌史(GET OVER)
(1R1分54秒、KO)
●亀本勇翔(チームドラゴン)
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著者プロフィール

福岡県久留米市出身。プロレスファンから格闘技ファンを経て2003年に格闘技WEBマガジンの編集部入りし、2012年からフリーライターに。スポーツナビではその年の青木真也vs.エディ・アルバレスから執筆。格闘技を中心に活動し、専門誌の執筆、技術本の制作、テレビ解説も務める。

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