アギーレ「基本システムは4−3−3」=日本代表新監督就任会見全文

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できるだけ日本に長く住みたい

アギーレ監督(中央)は日本を高みに導くことはできるのか。その手腕に注目が集まる 【スポーツナビ】

――日本代表は欧州組が多いが、試合のたびに長距離を移動してコンディションが崩れることがある。どんな対処法があると考えるか?(小谷紘友/サッカーキング)

アギーレ監督 長旅で疲れるということだが、数年前からFIFA(国際サッカー連盟)がそうした状況を改善するために、同じ週に2試合を組むルールになった。選手は試合に合わせて十分に回復する時間はあると思う。欧州は世界でトップレベルにあり、選手の報酬も高い。メキシコの選手も日本の選手もアルゼンチンの選手もブラジルの選手も欧州でプレーしているので、代表招集では似たような問題はある。ただ、それが障害になるとは思っていないし、長旅で疲れたから試合に負けたとか、コンディションが整わないとか、そうしたことは言い訳にすべきではない。選手はプロであり、60試合くらいはこなしている。移動中での体調の整え方は心得ているだろうから、長距離移動は障害にはならないと思う。

――日本はW杯ではベスト16が最高だが、それより上に進出する可能性はあると思うか。それから原委員長、監督は守備を整備すると言っていたが、これまでの攻撃サッカーを継承できる指揮官だという信頼はあるか?

アギーレ監督 日本はロシアでの本大会に進めるチームだと思っている。過去にも何度か本大会に出場しているし、リーグのレベルも非常に良くなっている。五輪世代についても、ロンドンで試合を見たが非常に優秀な選手がそろっている。ぜひ、リオデジャネイロ五輪を目指して頑張ってほしい。また日本には、欧州で良い仕事をしている選手がいる。次のW杯を目指すというのは、自分にとって非常に価値ある仕事だと思って、今回のオファーを受けることにした。日本は非常に真剣だし、選手についても非常にいい人材がそろっている。

原委員長 守備を固めて、という話がアギーレ監督からありましたが、(アルベルト・)ザッケローニ前監督も決して守備をやっていなかったわけではないです。守備のポジションや構えというものをベースにやっていて、その上で攻撃をどう仕掛けるのかというのがキーワードでした。ここにいるアギーレ監督も、そういう意味では代表監督の経験もあるし、クラブでも特にスペインではサラゴサやエスパニョールなど、当時はチーム状態が厳しい中で守備を立て直して、勝ち点をしっかり取って残留したというのは、むしろ強いチームを勝たせるよりも難しい。そういう作業をやってきたと思っていますし、今の日本に守備だけとか攻撃だけとか、そういうのはない。どうバランスをとるかということで、彼であれば今まで以上にバランスを見いだしてくれるだろうなと思っています。

――日本や日本人の印象。また挑戦したい日本文化があれば教えてほしい。

アギーレ監督 最初に来日のが96年で、メキシコのチーム(CFアトランテ)を率いて親善試合を2試合した。最初はヴェルディと、そして鹿島と対戦した。その次は02年W杯で、およそ40日間、日本に滞在した。今回は妻と息子を連れてきていて東京に住むつもりだ。最初にしたいのは、できるだけ多くのJリーグの試合を見ることだ。

 日本の文化的な面に関してだが、メキシコもスペインも日本からは離れているが、日本の伝統や歴史についてはかなり情報はある。今回も来日するにあたって、どのような文化や習慣があるのか、といった書物をたくさん読んだ。私の職業はサッカーだが、それ以外の文化的なことも試してみたいと思う。できるだけ長く、日本に住みたいと思うし、楽しみにしている。

各自が自分の責務を果たすことが重要

――監督のサッカーの哲学は何か。それから日本の生活で試したいことは?

アギーレ監督 私の哲学は非常にシンプルだ。とにかく走る、良いプレーをする、そして勝利を収める。これに尽きる。そして私がチームに望むことは、国を代表して、国を背負って戦っているということを肝に銘じてもらいたいと思っている。私は過去に、プレーヤーとしても監督としてもW杯に関わってきた。そこで感じたことは、代表チームの一員というものは各自が自分の責務を果たすことが重要だということだ。

 プライベートでは、私もそうだが妻と息子も旅行が趣味だ。できるだけ、いろいろな場所を訪れてみたいし、また日常的に街中に出て人々と普通に交流したい。日本は何千年もの歴史のある国だが、なかなか日本に関する情報はヨーロッパでは知られていない。少しずつ日本について知りたい。そして一般の人たちと交流して知識を増やしていきたいと思っている。

――原専務理事、新しい技術委員長とメンバーは決まったか?(六川亨/フリーランス)

大仁会長 それは私のほうから。技術委員会で検討して、霜田(正浩)技術委員が後任に最適であると。ただ、これは理事会での承認が必要なので、9月の理事会で承認されれば、ということです。

――目標が18年のW杯・ロシア大会ということだが、日本はまだサッカーの歴史が若い国であり、W杯本大会には上位には行っていない。今までの仕事と違って、大きな挑戦になるのではないか。それと今後、スペインで指揮を執るつもりはないのか?(スペイン国営通信)

アギーレ監督 日本代表監督を引き受けたのは、おっしゃるとおり私のこれまでのキャリアの中で大きなチャレンジだと考える。人間は日々さまざまなことを学んでいくわけで、自分も頑張りたい。原さんともいろいろな話をしてきた。

 実は今回、スペインのクラブチームからオファーがあったし、他の代表監督にならないかという話もあった。その中で日本を選んだのは、10年のW杯のあとに原さんと霜田さんが声をかけてくれたということ。今回、再度オファーをしてくれたということ。そして一度お断りしてから、私の仕事をきちんと見ていてくれたこと。そういったことに引かれて、今回日本代表の監督を引き受けることを決意した。

 それからスペインでまた仕事をしないのかという話だが、先のことは分からないとしか言いようがない。というのも以前、スペインのクラブの監督を引き受けたときは1〜2年くらいだと思っていたが、結局12年になってしまった。明日のことは分からない。ただ今、確実に言えるのは、私はロシアでのW杯を目指して頑張るということだ。

――若手を重視するということだが、今年はU−20W杯の予選があり、代表戦と重なっている。もし10代でいい選手を見つけたとして、A代表とアンダーの代表、どちらを優先させるか?(河治良幸/フリーランス)

アギーレ監督 私の方針は公式戦優先だ。親善試合よりも公式戦を優先させる。五輪代表とA代表の公式戦が同じ日だったら、A代表に呼ぶかもしれないが、公式戦と親善試合だったら公式戦を優先させたい。そうした試合が、五輪をはじめいろいろな大会につながっていくので。

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