香川の現状は“補欠合格通知待ち” 残留か移籍、ファン・ハールの決断は?
「プレーは悪くないが……」という論調
10番のポジションでもプレーした香川(中央)。「プレーは悪くないが……」という論調がつきまとう 【写真:Action Images/アフロ】
後半開始から出場したインテル戦では、さしたるインパクトを残せなかった。『ミラー』は「インテル戦の勝者と敗者」という記事で、香川を同じ後半組のナニとともに「敗者」に分類し、こんな寸評を載せた。
「悪くないプレーを見せたが、チームには10番が多すぎるため、香川は蚊帳の外に思える。香川ほどのクオリティーを持つ選手がそれを発揮するチャンスをもらえないのは残念だが、移籍することが、彼にとってもクラブにとってもいいことかもしれない」
続くレアル・マドリー戦は、62分からマタとの交代で出場。同時にピッチインしたハビエル・エルナンデスのゴールを見事にアシストした。後に『デイリーメール』は全選手を「先発/メンバー入り/放出」に分類する記事を掲載したが、その中で香川は控えにあたる「メンバー入り」に振り分けられ、こんな評価が寄せられた。
「デイビッド・モイーズに起用されずいら立ちを募らせた香川は、間違いなく攻撃の才能を披露すべく必死。今夏の彼のベストシーンは、レアル・マドリー戦でエルナンデスのゴールをお膳立てしたクロス。彼の実力の片鱗を垣間見た。さらに、彼のユーティリティー性がファン・ハール戦術における財産になる可能性も。ただ、ドルトムントは彼の復帰を期待しているというが……」
「プレーは悪くないが……」という論調は、この2年間でずっと香川につきまとうフレーズだ。時折見せる輝きにポテンシャルは感じさせるものの、レギュラーとして、エース格としては物足りない。それが客観的な香川の印象だ。だからこそ、評価も割れる。上記2つの記事は、香川の実力自体は評価した上で置かれた立場を示した内容だが、一方で「ユナイテッドでの将来はない」という手厳しい論調もある。
残留なら中盤の“便利屋”が濃厚
残留なら「10番」と「6番や8番」のサブとして、中盤の“便利屋”が濃厚となる 【写真:Action Images/アフロ】
実際、香川が望むトップ下にはマタがいる。ローマ戦、リバプール戦でゴールという結果を残した彼は、間違いなく現状のファーストチョイスだ。米国ツアー後から合流するアドナン・ヤヌザイや、ルーニーに新加入のエレーラもトップ下でプレーできるため、2番手かと言われるとそれすら確かではない。
それでも、ファン・ハールが補欠合格を告げたなら、「10番」と「6番や8番」のサブとして“便利屋”を演じながら虎視眈々(たんたん)とチャンスを待つのが現実的な選択肢だ。だが、チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグもない新シーズンは出場機会が大きく制限されることは必至だろう。
「落選」のほうが幸せな可能性も……
果たして、ファン・ハールが香川に下す決断はいかに。そしてそのとき、香川が選ぶ道は――。もし茨の道を歩むなら、日本代表の10番にとって、キャリア最大の勝負に挑むこととなる。