“メッシ後”のアルゼンチンに残るもの 若手の人材不足に、問題先送りのAFA
遠ざかる国際タイトル
アルゼンチンはメッシの存在を頼りに、世界の舞台で高みを目指してきたが…… 【写真:アフロ】
フル代表に至っては1993年のコパ・アメリカ優勝以降、21年も国際タイトルから遠ざかっている。その間には04年にアテネ、08年に北京で五輪の金メダルを獲得しているが、この時期を最後に結果が出せなくなったのは偶然ではない。
ペケルマンが退任した06年以降、アルゼンチンは若い人材の不足、そして一貫性に欠けるAFAの代表強化策により、混迷の時期を過ごしてきた。さらに言えばビエルサが率いた98〜04年の間を除き、過去30年に渡ってマラドーナ、メッシらスーパークラック(名選手)に依存した一過性のチーム作りを繰り返してきたのだ。
そんな状態でメッシがキャリアの下り坂を迎えた際、果たしてアルゼンチンには何が残るのだろうか。AFAはこの質問に対してどう答え、どんな選手を使い、どんなプロジェクトに沿ってチームを強化していくつもりなのか。
重要な問題を議論しないAFA
一時的に好調を保つことはある。だがシメオネとマルティーノの哲学は全くもって別物だ。ホルヘ・テイレルはマルティーノの哲学に沿ってニューウェルズ・オールドボーイズのフベニール(U−18)を強化しているが、グロンドーナ会長の息子であるウンベルト・グロンドーナに血縁関係を除いてAFAの幹部を務めるに値する能力があるのかどうか、ぜひ一度質問してみたいものだ。
アルゼンチンフットボール界は、最も重要な問題を議論せぬままでいる。今後何がどう変わるのか。何かを変える必要があるのかどうか。そういった疑問が生じぬよう、空いた役職を素早く埋めることしか考えていないのだ。こうした状況が続く限り、タイトル獲得の栄光はぼやけた過去に置き去りとなったまま、ただいたずらに時が過ぎていくだけだというのに。
(翻訳:工藤拓)