世界新間近の走り高跳びは混戦模様 躍進の戸邉もダイヤモンドリーグ参戦
ボンダレンコ「世界記録更新の可能性は高い」
６月１４日のニューヨーク大会は歴史的な一日となった。ボンダレンコが優勝し、２位のバルシムも２メートル４２の同記録をマーク。同じ試合で２メートル４０以上の記録を２人が跳んだ初めての試合となったのだ。
そして冒頭で紹介したローザンヌ大会となる。プロツェンコが自己記録を５センチも更新し、現役６人目の２メートル４０ジャンパーの仲間入り。２位までが２メートル４０台という試合の２度目が、早くも演じられた。そのうちの１人が世間的にはノーマークの選手だったことが、驚きを倍増させた。
ボンダレンコは５月に来日した際、「選手同士で『地球の重力が軽くなったんじゃないか』と冗談を言い合ったことがある」というエピソードを披露した上で、２メートル４０台を何人も跳んでいる現状について、次のように話した。
「とても良い状況だと思う。高い高さを跳ぶのは非常にエネルギーが要る。そのエネルギーを出すにはいろいろな要素があるが、ライバル同士が競り合うこともその１つだ。今シーズン、ファンが世界記録更新のシーンを見られる可能性は高いと思う。ただ、それがいつになるか、誰になるかは予言できない。でも、ファンが待つ状態はそんなに長く続かないだろう」
そして冒頭で紹介したローザンヌ大会となる。プロツェンコが自己記録を５センチも更新し、現役６人目の２メートル４０ジャンパーの仲間入り。２位までが２メートル４０台という試合の２度目が、早くも演じられた。そのうちの１人が世間的にはノーマークの選手だったことが、驚きを倍増させた。
ボンダレンコは５月に来日した際、「選手同士で『地球の重力が軽くなったんじゃないか』と冗談を言い合ったことがある」というエピソードを披露した上で、２メートル４０台を何人も跳んでいる現状について、次のように話した。
「とても良い状況だと思う。高い高さを跳ぶのは非常にエネルギーが要る。そのエネルギーを出すにはいろいろな要素があるが、ライバル同士が競り合うこともその１つだ。今シーズン、ファンが世界記録更新のシーンを見られる可能性は高いと思う。ただ、それがいつになるか、誰になるかは予言できない。でも、ファンが待つ状態はそんなに長く続かないだろう」
日本のホープ・戸邉が世界の強豪に挑む
そんな状況の男子走り高跳びに、日本から戸邉が参戦する。１９３センチの長身選手で、０９年に２メートル２３を跳び、高校記録を２０年ぶりに塗り替えた。翌１０年には世界ジュニアで銅メダルを獲得。だが、その後の３年間で五輪＆世界選手権の代表には一度も入っていない。
だが昨年９月に、遅ればせながら２メートル２８と世界選手権Ｂ標準の高さを跳び、今年５月に２メートル３１の日本歴代３位と、日本記録に２センチに迫った。
「今振り返れば、大学の４年間は自分に合ったトレーニング法を模索する期間だったと思います。（何度か合宿した）スウェーデンやエストニアで経験したやり方も参考にして、やっと自分の練習スタイルが確立できた。２メートル３５まではいける手応えを感じています」
７月１１日のグラスゴー大会と１８日のモナコ大会と、ダイヤモンドリーグを２連戦する。グラスゴー大会は非ダイヤモンドリーグ種目で、出場するのも自己記録が２メートル２６〜３６の選手たちだが、モナコ大会にはボンダレンコ、バルシム、ウーホフ、ドルーアンらが参戦する予定だ。
「僕が経験してきた中で間違いなく、一番高いレベルの試合になります。１０センチ以上記録が上の選手ばかりなので、彼らが上げていくバーについて行けない不安もありますが、それ以上にワクワク感の方が大きいですね」
戸邉はこれまでの経験から、自分一人が残ってバーを上げて記録を狙うよりも、複数の選手でバーを上げ、跳び合う方が記録を出しやすいと感じている。勝負に集中することで、変に高さを意識しなくて済む。
「（２メートル３１を跳んだ）ゴールデングランプリがそうでしたが、２メートル３０以上をボンダレンコとウーホフは軽々と超えていました。周りがそういう状況だと、刺激を受けて跳べてしまう気がするんです。世界の走り高跳びは２メートル４０が当たり前になりました。ダイヤモンドリーグなど、そこに身を置くことで、自分の意識もまったく違うものになる。日本で考えるよりも、気持ちの持ち方が大きく違ってくると思うんです」
厳しい戦いの場に身を投じることになるのは、紛れもない事実である。かつては２メートル３５でメダル争いができた時代もあったのだ。客観的に見れば不運な巡り合わせである。
だが「僕は不運とは思っていません」と戸邉はその見方を否定する。「高いところを跳び越えるのが走り高跳びという種目。壁が高ければ、それを跳び越えるのが僕のやりがいです」
２メートル４０ラッシュの世界の走り高跳びと、そこに挑戦する日本のホープ。その舞台となるダイヤモンドリーグを見られるわれわれは、間違いなく幸運である。
（Written by 寺田辰朗）
■詳しい内容はＷＯＷＯＷオンライン 陸上ワールドツアー ダイヤモンドリーグへ！（wowow.co.jp/diamond）
http://www.wowow.co.jp/sports/diamond/
◆◆◆ＷＯＷＯＷ番組情報◆◆◆
★「陸上ワールドツアー ダイヤモンドリーグ」
世界新記録の瞬間を目撃せよ！“世界最速の男”ボルトら世界のトップアスリート、桐生祥秀ら日本勢の出場に期待がかかる
・走高跳に戸邉＆棒高跳に澤野が参戦！ 第９戦 グラスゴー１日目
【放送日】７月１１日（金）深夜２：５０〜［ＷＯＷＯＷライブ］※生中継
・フェリックスｖｓオカグバレ、短距離女王対決！ 第９戦 グラスゴー２日目
【放送日】７月１２日（土）夜１０：５０〜［ＷＯＷＯＷライブ］※生中継
・第１０戦 モナコ
【放送日】７月１８日（金）深夜２：５０〜［ＷＯＷＯＷライブ］※生中継
だが昨年９月に、遅ればせながら２メートル２８と世界選手権Ｂ標準の高さを跳び、今年５月に２メートル３１の日本歴代３位と、日本記録に２センチに迫った。
「今振り返れば、大学の４年間は自分に合ったトレーニング法を模索する期間だったと思います。（何度か合宿した）スウェーデンやエストニアで経験したやり方も参考にして、やっと自分の練習スタイルが確立できた。２メートル３５まではいける手応えを感じています」
７月１１日のグラスゴー大会と１８日のモナコ大会と、ダイヤモンドリーグを２連戦する。グラスゴー大会は非ダイヤモンドリーグ種目で、出場するのも自己記録が２メートル２６〜３６の選手たちだが、モナコ大会にはボンダレンコ、バルシム、ウーホフ、ドルーアンらが参戦する予定だ。
「僕が経験してきた中で間違いなく、一番高いレベルの試合になります。１０センチ以上記録が上の選手ばかりなので、彼らが上げていくバーについて行けない不安もありますが、それ以上にワクワク感の方が大きいですね」
戸邉はこれまでの経験から、自分一人が残ってバーを上げて記録を狙うよりも、複数の選手でバーを上げ、跳び合う方が記録を出しやすいと感じている。勝負に集中することで、変に高さを意識しなくて済む。
「（２メートル３１を跳んだ）ゴールデングランプリがそうでしたが、２メートル３０以上をボンダレンコとウーホフは軽々と超えていました。周りがそういう状況だと、刺激を受けて跳べてしまう気がするんです。世界の走り高跳びは２メートル４０が当たり前になりました。ダイヤモンドリーグなど、そこに身を置くことで、自分の意識もまったく違うものになる。日本で考えるよりも、気持ちの持ち方が大きく違ってくると思うんです」
厳しい戦いの場に身を投じることになるのは、紛れもない事実である。かつては２メートル３５でメダル争いができた時代もあったのだ。客観的に見れば不運な巡り合わせである。
だが「僕は不運とは思っていません」と戸邉はその見方を否定する。「高いところを跳び越えるのが走り高跳びという種目。壁が高ければ、それを跳び越えるのが僕のやりがいです」
２メートル４０ラッシュの世界の走り高跳びと、そこに挑戦する日本のホープ。その舞台となるダイヤモンドリーグを見られるわれわれは、間違いなく幸運である。
（Written by 寺田辰朗）
■詳しい内容はＷＯＷＯＷオンライン 陸上ワールドツアー ダイヤモンドリーグへ！（wowow.co.jp/diamond）
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