【VTJ】夜叉坊、初の大阪大会を豪快KOで締める=フライ級T決勝は扇久保とスクラヴォス

中村拓己

圧勝の夜叉坊「俺UFC行くでしょ!」

メインイベントを務めた大阪出身の夜叉坊は2RKO勝利で、VTJ初の大阪大会を盛り上げた 【中村拓己】

 29日、大阪・ボディメーカーコロシアム第2競技場で「VTJ 5th」が開催された。

 2012年12月24日に旗揚げしたVTJ。試合場はリングではなくケージ、そしてUFCと同じユニファイドルールを採用し「世界で活躍できる日本人MMAファイターを作る」というコンセプトのもと、これまで都内を中心に4度の大会が行われてきた。そして5度目となる今大会では大阪に初進出。前売りチケットは大会の2週間前に完売し、会場の大阪・ボディメーカーコロシアム第2競技場は超満員に膨れ上がった。

 初めての大阪大会を地元・大阪在住の選手たちが盛り上げた。本戦第1試合には日本拳法をベースに持ち、DEEPを主戦場に戦う中村優作が登場。修斗で活躍する山本賢治と激しい打撃戦を繰り広げ、日拳仕込みの独特のステップから繰り出す打撃を叩き込む。3Rこそ山本に反撃を許したものの、1・2Rのポイントを守り抜き、勝利をもぎとった。

 メインイベントに登場したのは、大阪の注目ファイター石原夜叉坊だ。抜群の身体能力と豪快な打撃が持ち味の夜叉坊は韓国のジョ・ジュンファンを1Rから圧倒。左ストレート、左ハイキックを次々とヒットさせ、2Rに左ストレートから猛ラッシュ、最後はパンチとヒザ蹴りの連打でジュンファンを沈めた。

 大応援団の声援に応えるKO勝利を収めた夜叉坊は「VTJとUFCの提携が発表されたけど、これで日本も盛り上がる。盛り上げると言ったら俺でしょう。というか俺(UFCに)行くでしょ。チャンス欲しいっすね」と世界最高峰の舞台UFCへの挑戦をぶち上げた。

扇久保は秒殺1本勝ち!神酒は準決勝敗退

10月4日のVTJでフライ級トーナメント決勝を戦う扇久保とスクラヴォス 【中村拓己】

 大会の注目は2月23日「VTJ4th」から開幕したVTJフライ級(125ポンド/56.7kg)トーナメント準決勝の2試合だ。国内外の精鋭8選手でスタートしたトーナメント、準決勝に駒を進めたのは現修斗世界バンタム級王者・神酒龍一、元修斗世界フェザー級王者・扇久保博正、アメリカのシーザー・スクラヴォス、ハワイのカナ・ハヤットの4人。日本人2選手と外国人2選手が勝ち残り、神酒vs.スクラヴォス、扇久保vs.ハヤットという“日本VS世界”の顔合わせとなった。

 海外の強豪を迎え撃った日本勢は明暗が分かれる結果になった。先に登場した扇久保はハードパンチャーのハヤットを蹴り技で翻弄。タックルからテイクダウンを奪うと、最後はバックからのスリーパー(リアネイキッドチョーク)を極めて、わずか80秒でハヤットを切って落とした。

 一方、一回戦で元修斗世界ニ階級王者マモルをスリーパーで秒殺したスクラヴォスと対戦した神酒は1Rから苦戦を強いられる。スクラヴォスの圧力と回転の速いパンチに押されて下がる展開が続き、2Rにはギロチンチョークからトップポジションを奪われるなど、グラウンドの攻防でも攻め込まれる。
 3Rに入り、ようやく神酒もパンチやヒザ蹴りをヒットさせ、タックルでテイクダウンを奪うが、終了間際にはバックポジションからスリーパーを狙われて万事休す。判定3−0で敗れ、準決勝敗退に終わった。

 これで10月4日(土)「VTJ6th」(東京・大田区総合体育館)で行われるトーナメント決勝は扇久保vs.スクラヴォスに決定。対戦が決まった両者はケージに並び立ち「また首を絞めて勝ちます」(扇久保)、「必ずいい試合になると思う。グッドラック!」(スクラヴォス)と決勝への意気込みを語った。

現パンクラス王者タクミ、復活の一本勝ちで男泣き

現パンクラス王者タクミが修斗のトップファイター美木から1本勝ちで男泣き 【中村拓己】

 過去の大会でも団体の枠を超えた夢のカードを実現させてきたVTJ、今大会でも現役パンクラス・フェザー級王者タクミvs.修斗のトップファイター美木航という試合が行われた。

 1Rは互いに距離を探る静かな立ち上がり。タクミは構えをスイッチしながら右フック、インローやハイキックを蹴る。サウスポーの美木も左ストレートを当てると、距離を潰してヒジ打ちを打ち込んで譲らない。

 2Rも両者は慎重な動きで試合を進めていくが、タクミがジャブと左フックで距離を詰める。そして組みついたタクミがテイクダウンを奪うと、素早くバックに回り込んでスリーパーで一本勝ち。パンクラス王者としての強さをケージで見せつけた。

 昨年10月の試合でKO負け(PXCでのウィル・チョープ戦)した後、一時は現役引退を示唆していたタクミ。試合後はマットに崩れ落ちて男泣きし「これからまた頑張りますので、応援よろしくお願いします」と復活の勝利を涙のマイクで締めくくった。
■「VTJ 5th」
6月28日(土)大阪・BODYMAKERコロシアム第2競技場

<メインイベント 135ポンド/61.2kg契約 5分3R>
○石原夜叉坊(修斗GYMS直心会)
(2R2分24秒、KO)
●ジョ・ジュンファン(韓国/ジュンシムジム)

<第5試合 VTJフライ級(125ポンド/56.7kg)トーナメント準決勝 5分3R>
○シーザー・スクラヴォス(アメリカ/TEAM SKLAVOS)
(判定0−3)
●神酒龍一(CAVE)
※27−30、27−30、27−30

<第4試合 VTJフライ級(125ポンド/56.7kg)トーナメント準決勝 5分3R>
○扇久保博正(パラエストラ松戸)
(1R1分20秒、リアネイキッドチョーク)
●カナ・ハヤット(アメリカ/TEAM BODY SHOP)

<第3試合 155ポンド/70.3kg契約 5分3R>
−佐々木信治(総合格闘技道場BURST)
(試合中止)
−岸本泰昭(総合格闘技道場コブラ会) 
※佐々木が試合当日に急性胃腸炎・腹膜炎になったため

<第2試合 145ポンド/65.8kg契約 5分3R> 
○タクミ(パラエストラ大阪)
(2R2分28秒、リアネイキッドチョーク)
●美木航(NATURAL9)

<第1試合 135ポンド/61.2kg契約 5分3R> 
○中村優作(総合格闘技スタジオSTYLE)
(判定0−3)
●山本賢治(修斗GYM東京)
※28−29、28−29、28−29

<オープニングファイト第3試合 125ポンド/56.7kg契約 3分3R>
○KODO(シューティングジム神戸)
(3R2分25秒、ギロチンチョーク)
●伊是名秀宣(チーム・ソフトコンタクト)

<オープニングファイト第2試合 150ポンド/68.0kg契約 3分3R>
○ジャックナイフツネオ(シューティングジム大阪)
(判定2−1)
●摩嶋一整(毛利道場)

<オープニングファイト第1試合 145ポンド/65.8kg契約 3分3R>
○高野明(MMA修斗ジムBLOWS)
(2R0分1秒、ドクターストップ)
●鷹亜希(修斗GYMS直心会)
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著者プロフィール

福岡県久留米市出身。プロレスファンから格闘技ファンを経て2003年に格闘技WEBマガジンの編集部入りし、2012年からフリーライターに。スポーツナビではその年の青木真也vs.エディ・アルバレスから執筆。格闘技を中心に活動し、専門誌の執筆、技術本の制作、テレビ解説も務める。

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