グループリーグで輝いた“ヤングガンズ” 列強の中核を担う「U−23」の選手たち
インパクトを残したハメス・ロドリゲス
オランダはデ・フライ(写真)らDFラインに若手が多い。積極的に若手を起用してきたため、「下」が育ってきている 【写真:ロイター/アフロ】
日本人としてはあまり思い出したくないところではあるが、コロンビアとの第3戦の様相はハーフタイムに投入された(つまり決勝トーナメントに向けて温存されていた)彼が投入されたところから一変した。タメを作り、ドリブルで打開し、巧みにパスを散らし、そしてフィニッシュは冷静にして精緻(せいち)。オフ・ザ・ボールで少しの動き出しからマークを外してしまう賢さも突出したものがある。カウンターで彼を経由した攻撃が“怖さ”を増すシーンを今大会で何度見たことだろうか。
主にトップ下としてプレーしている今大会だが、左MFに入ったときも脅威となっていた。左足から繰り出されるクロスボールの精度も非常に高い。彼が試合途中から左に入り、MFフアン・キンテーロ(彼も21歳の若手)がトップ下に入ったコートジボワールとの第2戦では、このキンテーロを生かしながら自身も生きる巧みさを発揮していた。日本戦では、ハメス・ロドリゲスのサポートがない状態で先発したキンテーロがまるで存在感を出せなかったのは示唆に富む現象だった。
日本と同組と言えば、ギリシャ代表センターバックのコンスタンティノス・マノラスも22歳とは思えぬ沈着な守備で、堅守を前面に押し出すチームを支えた。186センチとギリシャ守備陣の中では特に大柄というわけではないのだが、エアバトラーとしての能力は傑出している。日本もまたその牙城を崩しきることはできなかった。
オランダとドイツは将来を見据えた選考
ベテラン選手がチームから去り、ラファエル・ファン・デル・ファールト、ケビン・ストロートマンといったネームバリューのある選手を負傷で失ってしまったオランダだが、積極的に若手を起用してきたルイ・ファン・ハール采配の効用もあって、「下」がしっかりと育ってきている。それがチーム力に還元されている印象だ。
同様にドイツ代表も「若い」。MFマリオ・ゲッツェ(22歳)が若手の象徴だが、控え選手に若手を集めているのが印象的だ。実績のない彼らは不満を漏らすことも少なく、チームの規律と統制を保ちやすいというのもあるのかもしれない。もちろん、前提として彼らに地力があるからこそだが、有望株に経験を積ませるという意図もあるだろう。外国人監督ではなかなかこうした将来を見据えた選考は難しい。自国人を監督にするチームゆえのメリットだ。
決勝Tでも新たなスターに期待
新たな才能が世界中にその可能性を見せ付け、夢を抱かせる。息詰まるような試合が続くであろうこれからのノックアウトステージで、そんな新たな時代の新たなスターの姿が見られることを期待している。