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“内弁慶”を返上したエクアドル
敗戦にも見え隠れする世界で戦える自信

ホームで強い典型的な内弁慶チーム

エネル・バレンシア(手前)のゴールで先制したものの、スイスに逆転負け。内弁慶チームのエクアドルは高地でしか勝てないのだろうか
エネル・バレンシア(手前)のゴールで先制したものの、スイスに逆転負け。内弁慶チームのエクアドルは高地でしか勝てないのだろうか【写真:Action Images/アフロ】

 今回、2大会ぶり3度目のワールドカップ(W杯)出場を果たしたエクアドル。初戦のスイス戦では、FKのチャンスから、ゴール前で全くフリーの状態となっていたエネル・バレンシアがヘディングシュートによる先制点を決めて1−0とリードして前半を終えたものの、後半開始早々に同点に追いつかれ、後半のアディショナルタイムに勝ち越し点を許し、黒星スタートとなった。


 両サイドのMF(アントニオ・バレンシアとジェフェルソン・モンテーロ)による高速ドリブル突破を武器とするレイナルド・ルエダ監督のチームは、堅固な守備からのカウンターを得意としており、対戦相手からは「先制されると厄介なチーム」と言われていた。今大会の予選でも、先制点を決めた試合で逆転されたことは一度もなく、それだけにスイス戦でのタイムアップ寸前の失点は惜しまれるところだ。


 エクアドルといえば、海抜2800メートルのキトをホームとすることで知られている。今大会の予選では7勝4分5敗の成績で4位につけてダイレクト通過を達成した。その内訳を見てみると、7勝全てがホーム、5敗はアウェーとなっており、典型的な内弁慶チームであることが分かる。結果を見ただけでは、「高地の利を生かして予選を通過した」と思われても仕方がない。

高地の利はホームで強い理由にはならない

 ではエクアドルは実際に「高地でしか勝てないチーム」なのだろうか。


 これについて、同国のベテラン女性ジャーナリスト、マルタ・コルドバは「われわれにとって『高地だから勝てる』という魔法はない」と言い切る。


「海抜の高ささえ利用すれば予選通過が可能となるのであれば、キトよりもずっと高いラパス(海抜約3800メートル)をホームとするボリビアは毎回W杯に出場できるはず。それにエクアドルの場合、02年(日韓)大会の予選までは、キトでブラジルとチリを相手に勝ったことがなかった。そもそも予選は、ホームだからといって簡単に勝てるものではない」


 確かに今回の予選でも、例えばウルグアイはホームで一度も負けていないが、その一方でドローゲームが多く、勝点でエクアドルと並びながらも得失点差では4点もの差をつけられて5位となり、プレーオフを戦わなければならなかった。


「ホームでは、国民のサポートが大きなプレッシャーとなる。特に海外でプレーしている選手たちは、母国のファンから『良いプレーを見せて当然』という過度な期待をされる。それだけでなく、個人差はあるものの、毎回移動による疲労を感じながら代表に合流することになる。これは、高地をホームとするエクアドルの選手たちにとっても全く同じハンディキャップ。ホームで勝つためには、強靭なメンタルと耐久性がなければならない」


 コロンビアのホセ・ペケルマン監督が、予選の途中からチームの指揮を任された際、選手たちに言い聞かせたことのひとつは「これ以上ホームゲームでの勝ち点を逃さないこと」だった。国民の多大な期待が重圧と化す環境においては、高地の利もさほど役には立たないのである。

藤坂ガルシア千鶴

89年よりブエノスアイレス在住。サッカー専門誌、スポーツ誌等にアルゼンチンと南米の情報を執筆。著書に「マラドーナ新たなる闘い」(河出書房新社)、「ストライカーのつくり方」(講談社新書)があり、W杯イヤーの今年、新しく「彼らのルーツ」(実業之日本社/大野美夏氏との共著)、「キャプテンメッシの挑戦」(朝日新聞出版)を出版。

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