ハムストリングスを鍛えて肉離れを防ぐ ケガをしにくいトレーニング(4)

高樹ミナ

【Getty Images】

【スポーツナビDo】

 サッカーよりも少人数でプレーできて、男女混合チームでも楽しめるフットサル。サッカーに比べるとはるかにピッチが狭いため試合展開が早く、止まったり走ったりの“ストップ&ゴー”が長時間連続するのが特徴だ。そこで起こりやすいのが、太もも裏の肉離れ。ハムストリングスもしくはハムストリングと呼ばれる部位だ。

 肉離れを起こさずフットサルを楽しむにはどうすればいいのか? プロテニスプレーヤーのクルム伊達公子選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートの専属トレーナーとして知られるアスレティックトレーナーの鈴木岳.さんに、ファンクショナルトレーニング理論に基づくトレーニング法を教えてもらった。

エキセントリック収縮に耐えうる筋肉をつける

フットサルではこの筋肉のエキセントリック収縮がハムストリングスで盛んに繰り返されている 【スポーツナビDo】

 ピッチ上でストップ&ゴーを繰り返すフットサルでは、グッと足を踏み込んで止まるとき、固くなる太もも裏の筋肉が強く引っ張られます。その筋肉がハムストリングス。大腿(だいたい)二頭筋、半腱様筋、半膜様筋から成っていて、急激に強く引っ張られると筋肉の線維が切れてしまいます。それが肉離れです。

 ハムストリングスの肉離れを防ぐには「エキセントリック収縮」(伸張性収縮)と呼ばれる筋活動に対応できる筋肉をつけてあげることが必要です。エキセントリック収縮をイメージするのに分かりやすいのは、鉄アレーを引き上げるときよりも、ゆっくりと耐えながら下ろすときの動き。スクワットで立ち上がるときよりも、しゃがむときにゆっくりとしゃがむという動き。フットサルではさまざまな場面において、このエキセントリック収縮がハムストリングスで盛んに繰り返されていて、人間の動作すべてにおいても実は最も多く行われているのです。

「ハムストリングスは鍛えにくい」はウソ?

 一般的に「ハムストリングスは鍛えにくい」と言われるようですが、僕はそうは思いません。おそらくそれは正しい理論に基づいたトレーニングができていないからではないでしょうか。よくトレーニングジムで見かけるレッグカール・マシンは、ハムストリングスを鍛えるのに効果的。しかし、フットサルの動作を行っているときの筋肉の使われ方とは多少異なります。

 機能的にハムストリングスを鍛えるには、もっとシンプルなトレーニング方法があるのです。

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著者プロフィール

1970年5月14日生まれ、千葉県出身。杏林大学外国語学部英米語学科卒業後、フリーアナウンサーからスポーツライターに。トライアスロンの取材を機に、2000年のシドニー大会で五輪を初経験。以降、04年アテネ大会、08年北京大会、10年バンクーバー冬季大会を現地取材する。16年オリンピック・パラリンピック招致委員会のメンバーとして招致活動に携わった経験をもとに競技はもちろん、それ以外の側面からも五輪の意義と魅力を伝える

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