新社長・秋山が全日本プロレス存続へ決意「新日本と並び立つ会社にしたい」

高木裕美

秋山が社長就任で新会社設立へ

社長として全日本プロレス存続へ決意を語った秋山準 【高木裕美】

 全日本プロレスの秋山準が6日、神奈川・横浜の全日本道場で会見を開き、全日本の今後について現段階での状況を説明した。
 現在、全日本は白石伸生オーナーが社長を務めるレッドウォールジャパンが親会社となり、全日本プロレスシステムズが運営している。秋山ら所属選手13人とスタッフ16人は、6月30日をもって現在の契約を解除。7月以降は秋山が社長となって新会社を設立し、そこで全日本の運営を行っていく予定だ。

団体の名称やタイトルは継続へ

全日本プロレスの白石オーナーは団体名、ベルトの譲渡に前向きの意向 【長谷川亮】

 新会社設立に動くきっかけとなった今年始めからの給料の遅配について「選手にやる気を起こさせるためだった」と説明した白石オーナーに対し、秋山は「このような形で、結果的には『よし、やろう!』ってなった」と強い言葉で決意表明。現在も白石オーナーとは協議中であり、すでに発表されている7月、8月の興行については、現在の全日本プロレスシステムズが主宰するか、新会社が引き継ぐかも未定だ。
 ただ、秋山サイドとしては、「全日本プロレス」という商標名やロゴマーク、歴代のベルトなどについては引き続き使用を求めており、オーナーサイドの了解が得られれば、今まで通りの団体名、タイトルで続けていくつもりだ。

 また、白石オーナーのリング登場などで、違う方向へ行きかけていた流れを、引き戻したいという思いもある。全日本の歴史と伝統を守りつつも、「王道・全日本に戻すつもりはないし、新しいものも取り入れていきたい。必要なものは残し、変えるところは変える」と、新天地に賭ける思いは強い。

馬場さんのような社長を目指す

師匠・ジャイアント馬場さんのような社長をめざすことを明かした秋山 【高木裕美】

「全日本と心中する覚悟」で社長就任を決意した秋山は、「目指す社長像はジャイアント馬場さん」と、全日本の創始者であり、自身がプロレス入りした際の師匠の名前を挙げた。かつて、娘が誕生して間もないころ、馬場さんに抱っこしてもらった際に「この子を笑顔にさせてやらなきゃいかんよ」と言われたことを思い出し、「選手、社員だけではなく、その家族や子供たちも笑顔にさせないといけない」と、苦しい経営状況でも、選手や社員たちの生活を守るのが最優先と決意。秋山の「やるしかないんだよ」という覚悟に、妻と娘も後押ししてくれたこともあり、マイナスからのスタートでも前向きさは失わず。7月以降は事務所を現在の道場に移転し、使用していない電気は消すなどして極力省エネに努力して経費を切り詰めながら、「ファンのためにも、新日本と並び立つ会社にしたい」と成長を目指していく。

諏訪魔にも役員入りを熱望

「やると決めたら前向きに頑張っていく」と力を込める秋山 【高木裕美】

 全日本のエースである諏訪魔にも、「選手としても頑張ってほしいけど、ぜひ協力してほしい。リングを下りたら、いいタッグパートナーとして全日本を支えてもらいたい」と、役員に迎える案を明かした。
 6月15日には東京・後楽園ホールでシリーズが開幕するが、現時点ではまだ所属選手ということもあり、特にあいさつや発表などは行わず。新体制がスタートした時点で、改めてファンに報告する予定だ。
 後楽園大会では、メインイベントで大森隆男との三冠ヘビー級王座決定戦が組まれているが、「現時点では社長の実務はほとんどないし、元気。ベルトも取って、リング内外を占拠したい」と、頂点獲りに燃えている。
「歴代社長の中では最悪の状況かもしれない。一番底辺からのスタートだと思う。でも、やると決めたら前向きに頑張っていく。選手の力、社員の力を信じています」と、明るい表情で語った秋山。馬場さんが作り、大きくした会社を、もう一度、自分たちの力で再生させるため、全力のパフォーマンスを見せ、一致団結していくことを誓った。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント