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日本代表、熾烈を極める1トップ争い
柿谷、大迫、大久保をどう使い分けるか?

指揮官が明かした1トップの候補

キプロス戦では柿谷(左)が先発。しかし見せ場は少なく、大久保(中央)と交代
キプロス戦では柿谷(左)が先発。しかし見せ場は少なく、大久保(中央)と交代【Getty Images】

「1トップは岡崎(慎司)もそのパートを担うので4人だ。それから本田圭佑も前回(の南アフリカワールドカップ=W杯=)はセンターFW(CF)をやっている。ただ、岡崎は右のポジションに慣れているので、柿谷(曜一朗)、大迫(勇也)、大久保(嘉人)がCFのポジションに入ることになるだろう」


 現地時間6月2日のコスタリカ戦(米国・タンパ)前日会見でアルベルト・ザッケローニ監督がこう語ったように、ブラジルW杯の本大会を前にした1トップ争いは上記3人に絞られた印象だ。そのサバイバルは今、熾烈(しれつ)を極めている。


 5月27日(日本時間)のキプロス戦では、昨夏の東アジアカップ(韓国)での3ゴールで一躍レギュラーをつかんだ柿谷が先発した。ザック監督もこの1年近く、ファーストチョイスと位置づけてきた点取屋に、まず最初のチャンスを与えたかったのだろう。


 しかし、本田が精彩を欠いた影響もあって、柿谷は孤立しがちで、ボールを思うように触れず苦しんだ。前半シュートゼロというのは、本人にとっても不本意だったに違いない。後半は開始早々に香川真司からのスルーパスに抜け出してGKとの1対1の決定機を迎えたものの、相手GKのセーブに遭って決めきれなかった。


「体もそんなに重くなくて、思ったより動けたので、いいところで得点チャンスがくればいいなって思っていたんですけど、決定的な仕事ができずに終わったので、残念だった」と本人も久しぶりの1トップで持てる力の全てを出し切れなかったようだ。

ゴールに迫るものの、得点は遠く……

コスタリカ戦で先発起用された大迫(左)は多彩なプレーを見せたが、フリーのシュートを外すなど決定力を欠いた
コスタリカ戦で先発起用された大迫(左)は多彩なプレーを見せたが、フリーのシュートを外すなど決定力を欠いた【Getty Images】

 その柿谷と交代したのが、昨季J1得点王のベテラン・大久保だった。彼の積極果敢にゴールへ向かう姿勢は攻撃陣を確実に活性化させた。「ボランチからの縦パスが入ってこない。もっと入れてくれたらディフェンスが崩れるからとりあえず出せ」という大久保の要求と得点へのこだわりに、周囲も引っ張られるかのように呼応する。久しぶりに一緒にプレーした本田や香川らとの距離感も悪くなく、適応力の高さも垣間見せた。結局、得点こそ奪えなかったものの、大久保が自らアクションを起こすことで、チーム全体がポジティブな方向に回り始めたのが、大きな収穫だった。


 ブラジルW杯直前3試合の最初に柿谷、大久保を試した指揮官は、次なるコスタリカ戦にもう1つのコマである大迫をスタメン起用した。


「チームでやるべきことをやりながら、自分が出せればいいし、点を取ることが求められていると思うので、貪欲にやっていきたいです。コスタリカはいいチームだと思うし、前線で起点になったり、ゴール前でクロスに対してシュートに行ったり、そういうプレーをすることが点につながる。体を張ってゴールを狙いたい」と、彼はブンデスリーガ2部で磨きをかけたフィジカルの強い相手との駆け引きを遺憾なく出そうともくろんだ。


 その言葉通り、大迫は立ち上がりから貪欲にゴールに迫る。開始11分には右サイドで先発した大久保から香川を経由してクロスが入り、強烈なヘディングシュートを放つ。まさにフリーの絶好機だったが、ボールは枠の外。「あそこで決めないとダメですね」と本人も苦笑する惜しい場面だった。その後も大久保や青山敏弘の縦パスに反応して背後に抜け出しかけたり、相手を半身で背負って味方に落としたりと、多彩なプレーを見せる。ドイツで屈強な男たちと日々、対峙(たいじ)した経験は間違いなく彼の糧になっていた。


 しかし、大迫自身もライバル2人と同様に得点が遠い。後半20分過ぎには運動量も目に見えて低下し、消える場面が多くなる。結局、ノーゴールのまま後半31分に柿谷と交代。後半はやや不完全燃焼感の残る出来だった。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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