“バルデラマ”時代よりも強くなった!=コロンビア領事に聞くお国情報
グループリーグ第3戦で日本と対戦するコロンビアについて、在日コロンビア大使館の領事に話しを聞いてみた 【写真:Photogamma/アフロ】
現在FIFAランキング5位、グループCのシード国であるコロンビア。開催国ブラジルは参加しなかったものの、強豪がそろう南米予選を2位で突破し、1998年フランス大会以来4大会ぶり5回目の出場を決めた。
コロンビア大使館のリカルド・ガイタン領事(44歳)は、現在のチームを「(前回W杯に出場した時のチームより)精神的に強くなり、今回は期待できます」と誇らしげに語る。ガイタン領事は、94年の米国W杯を実際に現地で見ており、「スタジアムに入った時に、見ている私もとても緊張してしまいました。選手たちも、圧倒的な人の数にプレッシャーを感じていたと思います」と、バルデラマやアスプリージャらタレント陣を擁した“黄金世代”でも、会場の雰囲気にのまれていたと話す。
コロンビア代表にとって最大の懸念点だったのは、同国のスーパースター・ラダメル・ファルカオ(モナコ/フランス)のけがの状態だ。代表候補メンバー30人に入ったものの、回復状態は万全でなかったため今回は代表を外れた。インタビュー時、ガイダン領事も「回復を願っています」と、スーパースターの早い回復を祈っていたが、その願いは届かなかった。
サッカーは“人生”! ファルカオ復帰を願ったが……
コロンビアのスーパースター・ファルカオは最後までW杯出場に向けて調整したが、本大会には間に合わず欠場が決まった 【Getty Images】
コロンビア人にとって、サッカーは“人生”そのものです。多くの国民が、毎週末はサッカーで楽しんでいます。国技といってもいいぐらい人気のあるスポーツです。
“人生”というのは、子供も大人も見るのもプレーするのも好きだということです。プレーしない人でもテレビでサッカーを見る人が多いです。
――そうなると子供にとってサッカー選手というのは、夢の職業ですよね?
そうですね。やはり子供はその姿を見て、あんなサッカー選手になりたいと思い、選手になりたいと夢を見ていると思います。
――そんな中、現在のコロンビアで一番の注目選手は?
それは、ご存知ですよね?
――ラダメル・ファルカオ選手ですか?
その通りです。ファルカオ選手はサッカー選手としてだけでなく、人間として、人望が厚い、とても豊かな特徴を持っている人です。
ファルカオ選手は人間として素晴らしい人格で、スターというだけでなく、一般の人にも優しく接し、親しみやすい存在です。スターのような遠い存在じゃなく、身近にいる存在。子供たちの憧れであり、ヒーローのような選手です。
今、ファルカオ選手はヨーロッパでプレーしていますが、コロンビアの協会にお金を出し、子供たちの育成環境を整えるなどの支援もしています。
――なるほど。国内でかなりの人気なのですね。しかし、今回ファルカオ選手は左ひざ前十字靭帯(じんたい)をけがしたため、W杯出場に黄色信号がともっています。(※)
もちろん、今はファルカオ選手以外にも良い選手がいるので、チームとしての心配はないのですが、やはりファルカオ選手はスターですし、人間としてすばらしい選手なので、早い回復を願っています。
(※ インタビュー後、回復が思わしくないため、本大会出場メンバーから外れた)
今の代表は「精神的に強い」
今回のW杯メンバーは欧州などで活躍する選手も多く「精神的に強くなった」と語るガイタン領事 【スポーツナビ】
今までのW杯では、国内リーグで活躍していた選手が集まって代表チームを構成していました。ですが、今回は海外で活躍する選手が増えており、大舞台で活躍してくれるという自信があります。例えば、ジャクソン・マルティネス選手はポルトガルのポルト、ハメス・ロドリゲス選手はモナコ(フランス)でやっています。ビクトル・イバルボ選手はイタリアのカリアリ。マリオ・ジェペス選手もアタランタでやっている大切な選手で、チームのキャプテンですし、ミランやパリサンジェルマンにも所属していた選手です。フランスのニースに所属するダビド・オスピナ選手も良いGKです。
――欧州のトップチームで活躍する選手も多いということで国民の期待も大きいと。
そうですね。初めてこのようなチームを作れたということで、期待しています。
――1990年代初頭にはバルデラマやアスプリージャなどの名選手をそろえ、コロンビア代表の黄金期を迎えたと思います。その頃と今の違いは?
先ほども言ったように、バルデラマの時代は、国内リーグの選手が中心でした。今は欧州やアルゼンチン、ブラジルで活躍する選手も多く、今の方が力があると思います。あの頃は大勢の観衆が集まるスタジアムに出ただけで緊張していました。国内では、そういう経験ができませんので。選手としては、プレッシャーで震えていたんだと思います。
――今のチームのほうが、海外のトップリーグで活躍するだけあり、そのプレッシャーには負けないと?
そうですね。精神的にすごく強くなりましたね。クリスティアーノ・ロナウドやメッシといった選手たちを相手にしても、戦った経験があるということで、精神的に強いと思います。ですから今回は期待できるし、選手たちは大舞台に慣れていると思います。
国民の願いはベスト8以上
「ベスト8までは行ってほしい」と話すガイタン領事。コロンビアの躍進はあるか!? 【スポーツナビ】
日本代表に対しては、すごいリスペクトがあります。憧れですね。今、家族と一緒に日本に住んでいるので、その気持ちは強いです。
――日本代表の選手で気になる選手はいますか?
(3月5日に行われた)ニュージーランドと日本の親善試合を見に行きました。香川真司選手、本田圭佑選手、長友佑都選手に魅力を感じましたね。すごくいい選手だと思います。
私が日本代表を見ていて思ったのは、とてもチーム戦術が整理されていることです。一人ひとりが与えられた役割をちゃんとこなしていることが良く分かりました。
試合を見た後には、この試合のゲームリポートを書きました。やはり実際に自分の目で見て、日本がどんなゲームをしていたかをコロンビア国内に伝えたいと思い、アナリストのような活動をしました(笑)。
――日本との試合はどんな展開になると思いますか?
とても強いチームだと思います。技術も高いですし。ですが、やはりコロンビアに勝ってもらいたいと思っています。
ただ3試合目となるので、そこまでの2試合でグループリーグ突破を決めるぐらい、いい試合をしてきて欲しいです。
――では、コロンビア代表にどこまで勝ち上がって欲しいですか?
私の思いとしては、グループリーグを突破し、ベスト8までは行って欲しいですね。
もちろん、勝ち上がるには運も必要です。運が良ければ、もっと上にいき、決勝まで狙えると思います。ただ、まずはグループリーグを1試合1試合超えていって欲しいです。
国民の希望としては、ベスト8までは行ってほしい。もちろん優勝がベストですが(笑)。
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