日本ラグビー界に輝いた2つの才能 世界ランク8位のサモアに快勝

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日本歴代最多82キャップを獲得した大野

日本歴代最多の82キャップを獲得した大野均 【築田純】

 一瞬の輝きで観客を魅了したのが松島なら、重ねてきた一歩一歩の重みをあたたかく祝福されたのは大野均だった。この日、日本歴代最多となる82キャップ(国際試合出場数)を獲得した36歳の大野は、入場の際に特例で一人でグラウンドに入り、万雷の拍手を浴びた。
 試合では、ジョーンズHCが「必ず毎試合、体を張ってくれる」と語った通り、攻守に激しくプレーした。日本が優位に立ったスクラム、ラインアウトで中心として働き、大野は「個人のことよりもセットプレーでプレッシャーをかけられて、日本をいい流れに持っていけたことに満足しています」と胸を張った。

 192センチ、105キロと体格に恵まれている大野だが、ラグビーを始めたのは大学に入ってから。18歳からのスタートは、日本代表選手では異例の遅さだが、少しずつ確実に前進し、誰よりも多くのキャップを手に入れた。
「ケガをしない体に生んでくれた両親に感謝しています。この舞台で少しでも長く続けられるようにと、一瞬一瞬を大事にしてきました」

ジョーンズHC「日本の見本になる選手」

試合が終われば柔らかな笑顔を見せる 【築田純】

 決して器用とは言えない大野だが、目の前のワンプレーに没頭し、そこに全力を尽くす才能があった。リーチ・マイケル主将は「うまく説明できないんですが、オーラが出ていて、練習に波がない。いつも一生懸命やっています」と語り、ジョーンズHCは「リアルプロフェッショナル。常に謙虚で、練習を絶対に休もうとしない。リスペクトできる存在で、日本の見本になる選手」と最大級の賛辞を送った。

 ジンバブエ人の父と日本人の母から受け継いだしなやかさと力強さを生かし、相手を抜いていく力を証明した松島。ケガをしない頑健な体で努力を続け、大きな成果を手にした大野。来年のW杯で対戦するサモアに快勝した価値あるナイトゲームで、日本ラグビー界に希望を与える2つの才能が輝いた。

(文・安実剛士/スポーツナビ)

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