注目の日本王者・内藤律樹が初防衛戦=6月のボクシング興行見どころ
国内でも役者がそろうSフェザー級戦線
沢木耕太郎のノンフィクション『一瞬の夏』の主人公であるカシアス内藤を父に持つ日本S・フェザー級王者・内藤律樹。6月にはベテラン玉越と初防衛戦を行う 【船橋真二郎】
世界的にも層の厚いスーパーフェザー級で頂点を極めるのは、そう簡単ではない。だが、ライバル同士の直接、間接の切磋琢磨は、より一層の飛躍を彼らにもたらすに違いない。仲村と伊藤は7月30日に東京・後楽園ホールで激突するが、「今度の初防衛戦をクリアしたら、金子さんか、その勝者とやりたい」と直接対決に意欲を隠さないのが日本王者の内藤である。6月9日、22歳のホープが後楽園ホールに迎えるのは33歳のベテラン玉越強平(千里馬神戸)。内藤の約5倍の46戦の戦歴と、4度の日本王座挑戦、1度の東洋太平洋王座挑戦経験を持ち、敵地メキシコで後に三浦に挑戦することになる当時のWBC1位ダンテ・ハルドンに3ラウンドTKO勝ちしたこともある。分厚い経験を有する玉越に対して「引退を賭けてくると思うし、距離感が独特でやりづらい相手だけど、いい勝ち方をすれば僕の株も上がる。ボクシング界を盛り上げる面白いカードを実現するためにも重要な一戦」と内藤の意気は軒昂だ。
「カシアス内藤の息子」から「律樹は強い」に――
内藤の父は沢木耕太郎氏のノンフィクション『一瞬の夏』で知られる元東洋、日本ミドル級王者のカシアス内藤会長。“カシアス内藤の息子”のプレッシャーは常に感じてきたと吐露するが、ベルトという結果を手にした今、「『カシアス内藤のDNAだから』じゃなくて、『内藤律樹は強い』と言わせたい」という。ロサンゼルス行きは内藤の中で“けじめ”でもあったのだ。さらに上のベルトを目指し、「これから僕自身の新たなボクシング人生が始まる気がする」と内藤。玉越はその旅立ちにふさわしい難敵であり、試金石の一戦になる。