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“悪夢”払拭の希望見出すイングランド
W杯に若き獅子たちの活躍を期待する

メディア論調を変えたホジソンのメンバー発表

W杯に臨む代表メンバー23人に若手を積極起用したホジソン監督(右)。「死のグループ」入りしたイングランドの現地評に変化が出てきた
W杯に臨む代表メンバー23人に若手を積極起用したホジソン監督(右)。「死のグループ」入りしたイングランドの現地評に変化が出てきた【Getty Images】

“Group of Death”。昨年12月、ウルグアイ、イタリア、コスタリカ、そしてイングランドが入ったワールドカップ(W杯)グループDの顔ぶれを、現地紙ガーディアンやデイリー・ミラーはこう表現した。

「気が重いグループ(テレグラフ)」「悪夢(デイリー・メール)」など、紙面には他にも弱気な文字が躍った。ガーディアンの読者アンケートでは、イングランド代表の大会成績について、「グループリーグ敗退」を予想する声が全体の69%にも上った。まがりなりにも優勝経験があり、世界最高峰のプレミアリーグを有する国にも関わらず、自国民からも上位進出を期待されていないのが、今大会のイングランド代表だ。


 しかし、5月12日にロイ・ホジソン監督が代表メンバー23名のリストを発表してから、国内の風向きは少しだが変わってきている。

「ロイ・ホジソン、ブラジルでヤング・ライオンを解き放つ準備(デイリー・メール)」

「ホジソン、FAの要求に応えて若くダイナミックなチームをセレクト(デイリー・ミラー)」

「ブラジルへ行くイングランド代表は史上2番目の若さ(テレグラフ)」


 主要メディアの論調は、軒並みチームの“若さ”を強調したものばかり。テレグラフによれば、平均年齢26歳のチームは、ベイビーギャングと呼ばれた1954年大会のチーム(平均24.8歳)に次いで、イングランドがW杯に送り込んだ中で歴代2番目に若いチームだという。さらに、リバプールのMFラヒーム・スターリング(19歳)、サウサンプトンのDFルーク・ショー(18歳)と2人の10代が選ばれたのは1998年フランス大会(マイケル・オーウェンとリオ・ファーディナンド)以来のこと。ファビオ・カペッロ前監督が選んだ4年前のメンバーの平均年齢(29.8歳)が歴代最高で、最年少が23歳(ジョー・ハートとアーロン・レノン)だったことを考えても、各記事の中に「fresh(新鮮)」という単語が目立つのもうなずける構成になっていた。

“保守的”な印象を崩し、攻撃的な選手を意識

 決して大きなサプライズがあったわけではない。ただ、小さなサプライズはあった。それが、DFアシュリー・コール(33歳)の落選と、MFマイケル・キャリック(32歳)のスタンバイ入りだった。


 たしかに、前者はチェルシーで定位置を失い、後者はマンチェスター・ユナイテッドの不振に引きずられ、今季はノーインパクトだった。それでも、基本的に“慎重”“保守的”というレッテルを張られることが多い66歳の老将が、過去複数回のW杯を経験している両者を切ったのは、なるほど「新鮮」なセレクトだった。


 2人のベテランの枠に、左SBのショーと、MFロス・バークリー(20歳)が入ったことがヤング・ライオンズの象徴と言われている。ショーはDFレイトン・ベインズの控えだが、今季のプレミアではそのベインズを抑えてプレミア年間ベスト11に選ばれている。


 エバートンのバークリーも、今季のプレミアを席巻したひとり。現地評から言葉を拝借するなら、「爆発的なゲーム・チェンジャー(BBC SPORT)」。5月のマンチェスター・シティー戦でGKジョー・ハートの頭上をぶち抜くスーパーゴールを決めたように、ここぞの場面で見せる輝きから、現在のイングランドで「最も創造的な選手のひとり(ガーディアン)」と言われる若者だ。特に守備に長けたキャリックよりも攻撃のジョーカーとなるバークリーを選んだあたり、ホジソンがユーロ2012のような守備的戦術ではなく、攻撃的なプレーを意識していることも感じとれる。


 ここに、今季リバプールで大きく成長したスターリングと、すでにユーロ2012で実力を証明済みのMFアレックス・オクスレイド・チェンバレン(20歳)を加えた最年少組の4人は、未来に向けた予行練習ではなく、れっきとした戦力として招集されている。2006年大会に17歳でサプライズ選出されたものの活躍の場がなかったセオ・ウォルコットではなく、1998年大会に18歳で出場して“ワンダーボーイ”となったマイケル・オーウェンと同じ部類に属する選手が4人いる、と考えてもらうといいかもしれない。

寺沢薫
寺沢薫

1984年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』編集部を経て、株式会社フットメディア(http://www.footmedia.jp/)在籍時にはプレミアリーグなど海外サッカー中継を中心としたテレビ番組制作に携わりながら、ライター、編集者、翻訳者として活動。ライターとしては『Number』『フットボリスタ』『ワールドサッカーキング』などに寄稿する

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