「日本のグループリーグ突破は五分五分」 韓国メディアから見た、グループCの展望

キム・ミョンウ

日韓共に証明したいアジアの実力

けがの影響が心配されるコロンビアのファルカオが、本大会に出場するのかしないのか? 日本の結果が大きく左右される、というのが韓国の見方 【Getty Images】

 ブラジルワールドカップ(W杯)開催まであと約3週間を切った。本大会に出場する32チームが選手リストを発表し、それぞれのチームが準備態勢に入るなか、出場国の国民にとって一番気になるのは、“自国がどれだけの成績を残せるのか”に尽きる。

 もっとも、ホスト国のブラジルを筆頭に、前回覇者のスペインやイタリア、ドイツ、イングランドなど欧州の強国が優勝候補に挙げられるなか、FIFAランキングでは下位にあたるアジアのチームに関しては“グループリーグ突破が可能か否か”について論じられることがほとんどだろう。

 5大会連続5度目のW杯出場で、過去最高のベスト16を超える成績が期待される日本。一方、同じアジアの韓国も2002年日韓W杯でベスト4入りを果たしたものの、海外開催の大会では10年南アフリカW杯でのベスト16が最高位とあって、今大会ではそれ以上の成績を目指している。アジアの代表として、日韓両国にはグループリーグを突破し、アジアのサッカーが世界基準であることを証明してもらいたいところだが、一つ気になることがある。

 それは日本が属するグループCを、韓国はどのように分析しているのだろうか――ということだ。お互いに切磋琢磨し、アジアサッカーのレベルアップに貢献してきた日本と韓国。アジアではライバル関係にある両国だけに、相手国をどのように見ているのかについて興味がある人も多いのではないだろうか。
 そこで、日本が属するグループCについて、韓国メディアの現地評価はどうなっているのかを見てみた。

日本の成績はファルカオ次第!?

「グループCの日本、大異変を狙うアジアチャンピオン」とタイトルをつけた『スターNニュース』(韓国の総合情報サイト)は、「コートジボワール、ギリシャ、コロンビアの3チームはどこが勝つのかは予想し難く、日本のベスト16入りの可能性は十分。特に香川真司と本田圭佑らミッドフィールドでの緻密なパスワークは世界的水準にある」と評価していた。

 だが、一方では「日本の(グループリーグ)突破は厳しい」という見方があるのも確かで、スポーツ・芸能総合サイトの『OSEN』サッカー担当記者のウ・チュンウォン氏もその一人だ。
「日本の突破は難しいと思いますが、韓国も日本と似たような状況にあります。いずれにしても絶対的な強国が同組にいないから突破が厳しいんです」
 具体的にどういうことなのか。
「レベルが同じチームの戦いになると、“1勝1敗1分で突破”という計算がたたない場合が多く、どこが勝つのか予想が難しい。冷静に判断した場合、ベスト16は難しいということです。しかもコロンビアのエース、ラダメル・ファルカオ、コートジボワールのディディエ・ドログバを止めるのは容易ではないし、ギリシャも前回大会の状態よりも守備は強固になっています。ただし……」

 ウ氏はそう前置きして、「ある条件がそろえば日本はグループリーグを突破できます」と言った。
「初戦のコートジボワールに勝利して、コロンビアのファルカオが本大会に出場しなければ、日本の突破の可能性はグッと高くなるでしょう」

 ウ氏の話だけでなく、他のメディアの論調でもよく見られたのが、“ファルカオ”の名前だ。韓国の現地評は、どうやらファルカオが一つのキーワードとなっているようだ。
 ファルカオはW杯南米予選でチーム最多となる9ゴールを奪った絶対的エースだが、所属チームのASモナコで1月に左ひざのじん帯を断裂し、W杯出場が難しいと言われてきた。だが、先日発表された30人の候補メンバーに含まれており、コロンビアサッカー連盟の公式サイトでは、アルゼンチンでのキャンプに参加することも発表された。それでも、試合ができる状態なのかはまだわからない。

『アジアトゥデイ』(ソウル総合日刊紙)記者のファン・ボヒョン氏も、「混沌のグループC」というタイトルをつけた記事の中でこう分析していた。
「(グループCは)目立った強者がいないのが実情。コロンビアがグループリーグを1位で突破するのが濃厚と思われるが、それもまだ分からない。それは攻撃の核となるエースFWのファルカオが本大会に出場できるかどうか、不透明だからだ。日本の突破は最終戦のコロンビア戦にかかっている」

つまり、ファルカオが本大会に出場するのか、そうでないのかで、日本のグループリーグ突破が大きく左右される、というのが韓国の見方だ。各メディアの内容をまとめた結果からいえば、“日本のグループリーグ突破は五分五分”といったところだろうか。

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著者プロフィール

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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