「日本のグループリーグ突破は五分五分」 韓国メディアから見た、グループCの展望

キム・ミョンウ

韓国記者、自国には辛口評価

11年1月のアジアカップ日韓戦を最後に韓国代表を引退したパク・チソン。彼のような精神的支柱が今の韓国代表には必要だ 【Getty Images】

 では、韓国は自国代表をどのように分析しているのだろうか。韓国はロシア、アルジェリア、ベルギーと同組だが、ウ記者が前述の「日本と韓国は同じような状況」という意味について聞いてみた。

「韓国はFIFAランキング55位でグループH最下位。同12位のベルギー、18位のロシア、25位のアルジェリアだが、ランキングを無視して戦力を評価した場合、圧倒的な強さを誇るチームを挙げるのも難しい。むしろ、日本よりもグループリーグ突破は難しいかもしれません。ブラジルやスペインといった強国と同じ組になったほうが、グループ2位での突破の可能性は高かったと思います。前回大会で韓国と同組だったアルゼンチンが3戦全勝してグループリーグ1位となり、そのほかは混戦となり、韓国はどうにかベスト16入りを果たせた経緯があります。今回は経験に乏しいアルジェリアに勝てたとしても、ロシアとベルギーは攻守と監督の能力は韓国よりも上です。初戦のロシアに負ければ、一気に崩れる可能性も大きい」
 ウ記者は、冷静な判断であれば、韓国の突破は厳しいとの見方だ。

「心配事はほかにもあります。仮にチームを率いる主将がFWのパク・チュヨン(ワトフォードFC/イングランド)になれば、少々物足りなさを感じざるを得ません。(前所属の)アーセナルや期限付き移籍したワトフォードでも出番が少なく、実戦から遠ざかっているのが心配要素。パク・チソン(元韓国代表主将)のような精神的支柱がいるのといないとでは、チームのまとまり方も変わってきますからね」
 現在の韓国代表メンバーはW杯を初めて経験する選手が多く、最近、現役引退を表明したパク・チソンのような存在がいないことがチームに及ぼす影響は少なくないと考える人が多いようだ。
 自国代表を少々辛口で評価したウ氏だが、韓国の突破の可能性はゼロではないと語った。

「初戦のロシアに勝利すれば、勢いに乗って3連勝も可能だと思います」
 いずれにしても日本のグループCと韓国のグループHは実力が拮抗しているため、ベスト16進出には何よりも初戦が肝心――と韓国は言っているが、果たして本番ではどのような結果が待っているのだろうか。

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著者プロフィール

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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