バンタム級6位・水垣がUFC173出陣=「インパクトを残して王座戦へつなげる」

長谷川亮

しっかり勝てば王座へのチャンスは広がる

現在4連勝中で、UFCバンタム級6位にランクされている水垣 (昨年のUFC日本大会より) 【t.SAKUMA】

――ユライア選手と水垣選手の豪胆ぶりを感じさせるエピソードです(笑)。昨年末に30歳となりましたが、何か心境の変化はありますか?

 30代ということで、いつキャリアが終わってもおかしくない歳に入ってきてるんだなという気持ちはあります。勝負はほんとここ2年、プラスあと何年か。体力とケガと相談しながらできるのかなっていう感じで思ってます。

――昨年、12月のナム・ファン戦の前にも話を聞く機会がありましたが、今年が勝負の年だと話をされていましたね。

 そうですね、年齢的にも、状態的にも今は4連勝の後っていうことで、ほんと勝負したいですよね。

――今回は当初ランキング上位のTJ・ディラショーと対戦が決まっていたのが、カードの組み替えがあり、ディラショーは王者ヘナン・バラオンに挑戦、水垣選手はランキング下位のリベラとの対戦となりました。これについてはいかがでしょう。

 相手が変わるって聞いた時はガッカリしましたけど、でもその後すぐランキングに入っているリベラになるよって言われたので、2日ぐらい、週末に聞いて次の週明けにはもう気持ちを切り換えられました。

――リベラとは過去に一度対戦が組まれるも、実現に至らなかった経緯があります。

 向こうのケガで流れたんですけど、その時と今では全然印象が違くて、以前組まれた時はWECでKO負けした後だったのでそんなに強いインパクトはなかったんですけど、ここ最近はKO勝ちが続いていて、全然その時の印象と違います。(フェザーから)バンタムに落として1回目は負けちゃいましたけど、その後からかなり調子がいいので。

――あらためて、どんな選手か水垣選手の印象をお願いします。

 ほんとにパンチの威力も回転も速くて強くて、その辺は危険だなっていう感じです。バンタムに落としてKO率も上がってますし、だからバンタムが合ってるんじゃないですかね。タイプ的にはフェザーの時と変わらずパンチ中心のストライカーってイメージですけど、その精度と威力が上がった感じがします。

――水垣選手は現在ランキング6位で、いよいよ王座挑戦が視界に入る位置へ来ました。

 そうですね、上の選手はみんな1回チャンピオンに負けた選手が多いので。ディラショーと、あと(ハファエル・)アスンソン(バンタム級2位)ぐらいなので、しっかり勝てばチャンスは広がるな、近くには来てるなっていう感じはします。まぁ、上はもうえげつない選手ばかりですけど(苦笑)。

世界挑戦経験のある金子大樹とボクシングスパー

昨年の大晦日に内山高志の持つWBA世界S.フェザー級王座に挑戦したプロボクサー金子大樹とスパーリングをするなど順調な調整に表情も明るかった 【長谷川亮】

――試合へ向けて何か取り組んでいる練習はありますか?

 基本は変わりないですけど、今ボクシングの世界ランクに入ってるような強い選手、世界挑戦経験のある選手とスパーをさせてもらってるので、そういう意味ではリベラが打撃が得意なので、いい経験になってるなという感じはします。横浜光ジムさんにお世話になって、金子(大樹。昨年大みそか、内山高志に挑戦)選手とスパーをさせてもらってます。別に今回の相手だからっていうことじゃなく、前から、対戦相手がディラショーだった時からやろうっていう話になっていて、ちょうどそういう意味でマッチしたなっていう感じで、より効果が出るんじゃないかと思ってます。

――ボクシングとMMAでは当然いろんな条件が異なってくる訳ですが、そこはどのようにアジャストさせていくのですか?

 もちろんパンチだけに集中すればいい訳ではないので、タックルとか蹴りもありますしいろいろ気をつけないといけないんですけど、やっぱりいいパンチを見ておくことによって、相手がMMAの選手になったら多少余裕ができて、見やすくなると思うんですよね。そうすると蹴りだったりテイクダウンに払う警戒の注意の分が余裕ができるので、そういう意味ではいいかなと思ってます。特に今回パンチの得意なストライカー、パンチャー系なので、よりいいかなと思ってます。

――メインで行われる同階級のタイトルマッチ、バラオンvs.ディラショーの予想はいかがでしょう。

 やっぱりバラオンは強いので、有利は変わらないと思うんですけど、前回のディラショーの試合を見るとすごいペースで3R攻め続けているんです。そのペースを5R続けられたら、分からないかもしれないです。あとはバラオンに対して攻め続けることができるか。

――水垣選手の目指す相手がどちらになるかも気になるところです。それでは最後に、試合へ向けての意気込みを改めてお願いします。

 久々にもらったチャンスなのでものにして、かつインパクトを残せる試合にして、タイトルにつなげたいです。タイトル戦はいつでも、もう次でも僕は全然やりたいですし、もう1回やれって言われればもう1回やります。だから逆にこの試合で、ある程度印象付けたいなっていうのはあります。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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