ブルズ撃破で快進撃見せるウィザーズ ガードの若手“デュオ”が大躍進の年に!

杉浦大介

下馬評を覆しウィザーズが勝ち進む

プレーオフ1回戦、下馬評を覆し、ブルズを4勝1敗で破ったウィザーズ 【Getty Images】

 経験豊富なシカゴ・ブルズが、戦前は圧倒的に有利と考えられていたシリーズだった。下位シードのワシントン・ウィザーズにチャンスがあるとすれば、長期戦にもつれ込んだ時だけだと思われていた。

 そんなNBAプレーオフのイースタン・カンファレンス第1ラウンド、第5シードのウィザーズは4勝1敗で第4シードのブルズを撃破。しかも、敵地シカゴで3戦3勝という圧勝劇である。
 過去5年連続でプレーオフに進んできた伝統チームは完敗。したり顔で、そろってブルズ勝利を予測した私たちメディアもある意味で敗れた。そして、自信をつけた学生チームのような勢いを感じさせるウィザーズの行く手には、上位進出の可能性が開けようとしている。

「最高の気分だよ。ドラフトでウィザーズに入った時から、この瞬間を待っていたんだ。これまで苦しい時間も多かったからね」
 シリーズ勝利を決めた4月29日の第5戦後、NBA TVで放送された会見に登場したエースのジョン・ウォールはそう語って笑顔をみせた。

ドラフト全体1位の逸材が開花!

躍進のウィザーズの原動力となっているジョン・ウォール。10年のドラフト全体1位の実力を開花させている 【Getty Images】

 実際にウィザーズのプレーオフ進出は2008年以来初めてで、第1ラウンドを突破したのは2005年以来のこと。こうして米国首都に本拠を置く古豪を復活させる原動力となったのが、23歳のPGウォール、20歳のSGブラッドリー・ビールという若きガード・デュオである。

 2010年のドラフト全体1位でウィザーズに入団した瞬間から、ウォールはウィザーズの再建を託されたも同然だった。
 プロデビューわずか6戦目でトリプルダブルを達成した大器は、今季まで3年連続チーム得点王、4年連続アシスト王。その一方で、シュート力の欠如などの弱点を克服できず、プレーオフ進出は一度も果たせず、“勝てないタレント”の烙印(らくいん)を押されかけた。

 しかし、そんなスター候補は4年目の今季に逞しく成長。平均得点、アシストの両方でキャリアハイをマークし、初めてオールスターにも選出された。今回のプレーオフでもFG成功率36.4%とショットは依然として不安定ではあるが、自身の得点力が不発な時に、司令塔として周囲の選手をコントロールできるようになったところに進境の跡が見える。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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