ブルズ撃破で快進撃見せるウィザーズ ガードの若手“デュオ”が大躍進の年に!

杉浦大介

ビールとウォールが奏でるケミストリー

SGのブラッドリー・ビールは大舞台好き。この先のプレーオフの戦いでも強心臓を見せてくれるだろう 【Getty Images】

 そのウォールの隣りで、NBA入り2年目のビールは伸び伸びとプレーしてきた。シーズン中はウォール(平均19.3得点)に次ぐチーム内2位の17.1得点、プレーオフではチーム最多の平均19.8得点をマーク。

 強心臓も売り物で、4月4日に敵地でのニックス戦で決勝シュートを決めた後、「マディソン・スクウェア・ガーデンの観客は騒がしかったけど、そんなファンを静かにさせるのは良い気分だったよ」と堂々と語って話題を呼んだ。

 シャイなウォールと、大舞台が好きなビール。身体能力抜群のウォールと、シューターとして知られてきたビール。それぞれに足りないものを埋め合わせられる2人は、すでに素晴らしいケミストリーを奏で始めている。

「(2人は)疑いもなく成長してくれている。プレーオフが彼らにとって大き過ぎる舞台だとは思わなかった。18、19歳でNBAに入ってきた選手たちだから、同年代の他の選手たちとは違うんだ。こういった経験を通して、さらに大きくなってくれるはずだ」
 ブルズとのシリーズ後の会見でランディ・ウィットマンHCがそう語っていた通り、今後もウォールとビールは大きな注目を集め続けていくことだろう。

ヒートが待つであろうファイナルへと進む可能性も

 もちろんウィザーズはこの2人だけのチームではない。背後ではビッグマンのネネ、マーチン・ゴータット、汚れ役をこなしてくれるトレバー・アリーザ、15年目にして初めてのプレーオフシリーズ勝利を挙げたアンドレ・ミラーといったベテランたちが支える。特にネネが好調時にはバランスが良くなるだけに、どんな強豪にとっても簡単に勝てる相手ではない。

 カンファレンスセミファイナルでは、シーズン終盤に謎の不振に陥った第1シードのペイサーズか、今季38勝44敗と負け越しレコードだった第8シードのホークスと対戦する。現在シリーズを3勝2敗とリードするホークスが番狂わせで上がってくれば、第2ラウンドではウィザーズがホームコートアドバンテージを手にすることにもなる。

 時の勢いに加え、地の利も味方することになれば――。
 まったくの無印だったウィザーズが、王者マイアミ・ヒートが待つであろうカンファレンスファイナルにまで駒を進めてももう誰も驚くべきではない。

 そして、その時には、ウォール、ビールというフレッシュな2人も真の意味で全国区になる。NBAにとっても重要なマーケットである首都ワシントンDCの若武者たちは、階段を上り続ける。今春をきっかけに、彼らは今後しばらくリーグを騒がせるデュオになっていくに違いない。

2/2ページ

著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント