屈辱的なシーズンは未来への布石? “タンキング”をもくろむ76ers

杉浦大介

連敗記録に並ぶ屈辱的なシーズン

米国メジャースポーツの最長連敗記録に並ぶ26連敗を喫した76ers。NBAのドラフト制度を利用し、来季のチーム強化を図る 【写真:AP/アフロ】

 フィラデルフィア・76ersにとって、2013−14シーズンはフランチャイズ史上に残る屈辱的なシーズンとなった。

 シーズン残り1試合となった時点で、チーム成績は18勝63敗。特に1月30日以降は勝利に見放され、3月30日まで怒濤の26連敗を喫し、10−11シーズンのクリーブランド・キャバリアーズ(NBA)、1976−77シーズンのタンパベイ・バッカニアーズ(NFL)と並ぶ米国メジャースポーツの最長連敗記録に並んでしまった。

「今季の中で重要だったのは、選手、フランチャイズの両方がどれだけ将来につなげていけるか。私と他のコーチ陣は、常に前を向きながら、このリーグからのリスペクトを勝ち得るために戦い続けたつもりだよ」

 就任1年目のブレット・ブラウンヘッドコーチも、シーズン途中からとにかく我慢を強調したコメントが多くなっていった。

低迷するチームを救うドラフト制度

 ただ……これほどの惨敗の中でも、チームの周囲には苦笑いこそあれ、それほどの悲壮感はないのが現実でもある。なぜなら、NBAではいわゆる“敗者救済”のシステムが確立されているからだ。

 低迷するチームにとって、再建のための手っ取り早い手段はドラフトでスター候補の新人を獲得すること。NBAのドラフトではロッタリー制度(くじびき)を採用しているが、勝率が悪いほど、上位指名権獲得の確率は高くなる。

 特に今年のドラフトにはアンドリュー・ウィギンス、ジョエル・エンビード(ともにカンザス大)、ジャバリ・パーカー(デューク大)といった近年有数の逸材がそろいハイレベル。そんな背景から、今季の76ersは実は負け続けることによって、明るい未来により近づいていた。少なくとも、その可能性が高まっていたと考えることはできる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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