「戦術はルーニー」が導いたドロー 万能の10番が示す準決勝への道
枠内シュートの確率はユナイテッドが上回る
試合終了直前にはシュバインシュタイガー(31番)を退場に追いやった。敵地での第2戦は危険な選手が1人消える 【Getty Images】
『UEFA.COM』のデータを見ると、両チームの違いがまざまざと浮かび上がる。バイエルンが906本のパスを使ったのに対し、ユナイテッドは380本。成功率もユナイテッドの61%に対してバイエルンが83%と上回るが、シュートが枠内に飛んだ確率はユナイテッドが6本中5本の83%と、15本中9本で60%のバイエルンを逆転する。数字を見ても、やはり非常に効率的なプレーだった。そして、ユナイテッドの枠内シュート6本中、ウェルベックと並びチーム最多の2本を放ったのがルーニーだった。
バイエルンの“本物の背番号9”マリオ・マンジュキッチの投入により、ついにゴールをこじ開けられはした。残り5分で送り込んだハビエル・エルナンデスを前線に置き、勝ち越しを狙う策は奏功しなかった。だが、現状でのバイエルンとの引き分けはユナイテッド、さらにはモイーズ監督にとって、大きなものだと言っていい。
準決勝への道は消えていない
試合前、モイーズ監督は「ユナイテッドは逆境で強さを発揮してきた」と語っていた。イングランドと欧州において力を誇示した時代のユナイテッドも、カウンターを武器の一つとしていた。そしてその中心には、今と変わらず万能の背番号10がいた。批判にさらされ続けているモイーズ監督だが、少なくともこの晩は、ユナイテッドの監督らしかった。
アウェーゴールを献上しての引き分けだが、準決勝への道は消えてなどいない。勝利への意欲をさらに高める世界王者のホームでの第2戦は、さらにマンチェスター・ユナイテッドの戦い方をはっきりさせる舞台となり得る。果たして彼らは、再び「赤い悪魔」となれるだろうか。