センバツ前日、混戦の春甲子園を占う=注目選手、V候補、21世紀枠を徹底分析

松倉雄太

21世紀枠3校は?

都立の星・小山台のエース・伊藤(手前)は「調子は良い」と笑顔 【写真は共同】

 小山台(東京)、海南(和歌山)、大島(鹿児島)の21世紀枠3校も、それぞれ甲子園練習で試合が迫っていることを実感した。

 中でも小山台のエース・伊藤優輔(3年)は、「球が走っていて、調子は良い」と笑顔を見せた。マウンドに立つと体を大きく見せ、立ち姿も凛としているのが特徴だ。4年連続出場の履正社(大阪)相手にどんなピッチングを見せるか。

 大島の甲子園練習は、渡邉恵尋監督が自ら打撃投手を務めた。「選手も楽しそうだった」と話したように、イキイキとした表情で汗を流した。エースの福永翔(3年)は、秋の公式戦奪三振率10.03をマーク。「自信があるのは真っ直ぐ」と、力強い球で近畿王者の龍谷大平安(京都)に挑む。

 海南はエースの岡本真幸(3年)が、16日の練習試合で死球を受け、右手首を骨折。今大会の登板が厳しくなってしまった。「まさかこんな風になるとは」と甲子園練習後に無念そうな表情を浮かべた岡本。マウンドは、武田洸輝、神崎稜平(ともに3年) 北畑裕士(2年)の3投手に託される予定、「声を出して、チームを元気づけたい」と、エースはチームのサポートを懸命にやる気持ちを言葉に表した。

甲子園練習から探る上位進出の行方

 抽選会前日のキャプテントークでは、主将が選ぶ優勝候補として、沖縄尚学、日本文理、横浜(神奈川)、智弁和歌山の名が挙がった。それ以外に上位進出、優勝を意識できるチームはどこか?

 甲子園練習で動きの良さが目を引いたのが秋の東海チャンピオンである三重(三重)。夏の甲子園で済美・安樂智大(3年)を苦しめたメンバーが多く残り、打撃には自信を持っている。冬場に、大幅なコンバートを敢行し、ポジションは大きく変わった。ただ長野勇斗(3年)は、「(元々)新チームの最初にコンバートをやろうとしたが、すぐに大会が始まったので、元の形になった。(秋が終わって)自然と今のポジションになりました」と不安がない気持ちを話す。エースの今井重太朗(3年)も夏の甲子園で悔しい経験をしており、春の舞台での雪辱を誓う。

 甲子園練習のトップを切って登場した近畿大会ベスト4の履正社は、捕手の八田夏(3年)がバックスクリーンに放り込むなど、打撃の力強さが目立った。従来の手堅い攻撃に、この打力が加われば、相手投手にとっては脅威。さらに溝田悠人、永谷暢章、本城円と来年のドラフト候補に名が挙がる3人の2年生投手を擁する。昨年苦杯をなめた、初日の初戦を突破できれば、上位進出できる可能性が高まるだろう。

 近畿大会を制した龍谷大平安は、2年生左腕の元氏玲仁をメンバーに加えて、投手陣の層が厚くなった。春夏通算70回目の出場となる節目の大会で、選抜初優勝を狙う。

 他にも美里工(沖縄)、駒大苫小牧(北海道)、報徳学園(兵庫)などに、前評判以上の不気味さが漂っているように感じる。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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