センバツ前日、混戦の春甲子園を占う=注目選手、V候補、21世紀枠を徹底分析
いよいよあす21日にセンバツ高校野球が開幕、有力校・注目選手などを徹底分析(写真は沖縄尚学) 【写真は共同】
秋の明治神宮大会を制した沖縄尚学(沖縄)、準優勝の日本文理(新潟)、夏の甲子園ベスト8の明徳義塾(高知)などに注目が集まるが、絶対的な力を持ったチームはない印象で、混戦模様の今大会。
どのチームが本番で力をつけ頂点に立つのか。戦力拮抗となりそうな大会のみどころを探る。
注目の対戦:智弁和歌山vs.明徳義塾
明徳義塾のエース・岸、智弁和歌山打線に対しどう立ち向かうのか 【写真は共同】
「決勝で当たるのが良かった」と高嶋監督が話せば、馬淵監督は「高嶋先生に甲子園最多勝の記録を伸ばしてほしい気持ちもあるし、自分も1勝でも多くしたい」と語り、互いに勝負師の顔を見せた。思わぬ初戦対決で、どんな采配を見せるかに注目だ。
チーム全体を見ると1年夏ベスト4、2年夏ベスト8の明徳義塾エース・岸潤一郎(3年)の存在が際立つ。一方の智弁和歌山は、昨年の春夏甲子園を逃したことで、今年は全員が試合初出場となる。選手の経験という点では、明徳義塾にアドバンテージがある。
智弁和歌山のポイントは投手。昨秋の公式戦では、エースの東妻勇輔(3年)を中心に、計7投手が登板した。長壱成、片山翔太(ともに3年)ら、打線の力を考えると、「投手次第で甲子園優勝を狙える」という声も多い。それだけに、高嶋監督がどのような投手起用を見せるのか。甲子園練習では、最初にマウンドに立った2年生左腕・齋藤祐太が好調のように見えた。秋の近畿大会では、疲労性の肩痛でベンチを外れたが、元々は指揮官がエースとして期待していた投手。左打者がスタメンで5人いる明徳義塾打線の特性を考えても、齋藤の出番はかなりの確率でありそうだ。「先発する気持ちで準備している」と齋藤自身もそのつもりでいる。
明徳義塾のポイントは、岸の球を受ける捕手。秋までは水野克哉とあべ(※)木裕亮(ともに3年)の併用だった。そこに2年生の山形堅心が割って入り、捕手争いは熾烈を極めた。三者三様に長所が分かれているのが特徴。肩に自信を持つあべ木、キャッチングの上手い水野、的が広い山形の3捕手のうち、馬淵監督は誰を起用するか。そして、捕手の交代期もカギになってくるかもしれない。
※=「木」へんに「青」の旧字体
山城、田嶋、柳川……注目の投手たち
左腕では佐野日大(栃木)の田嶋大樹(3年)。甲子園練習では、冒頭10球ほどピッチングを行った。秋の関東大会で一塁ベースの着地の際に足首を負傷。冬場は、下半身強化のトレーニングがなかなかできず、「焦りもあった」と本人にとっては心配が多かったが、ここにきて調子を上げてきているようだ。練習試合では140キロを超える球も投げているようで、大会3日目のマウンドが非常に楽しみである。
自ら開幕戦のクジを引いたのが岩国(山口)のエース・柳川健大(3年)。甲子園練習では、自らの武器であるスライダーを中心にピッチングを行った。「野手の動きは硬かった」と主将としてチームに目を配らせつつ、「自分のピッチングで、緊張をほぐしたい」と、バックを引っ張ることを誓った。ただ、選抜旗を持って入場行進をし、開会式では1時間近く立ちっぱなしで、エース兼主将の負担は大きい。この時間にどう身体をケアするかが、立ち上がりに繋がってきそうだ。
初戦が神宮準優勝の日本文理に決まり、闘志を燃やすのが、豊川(愛知)のエース・田中空良(3年)。「相手は強力打線ですが、豊川の名前を売るチャンス」と意気込みを話す。最速140キロを超える直球で、神宮3HRの飯塚悟史(3年)らの日本文理打線に勝負を挑む。