小笠原歩「みんなよく戦ってくれた」 カーリング女子主将が語るチームへの思い

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「好きだからこの競技を極めたい」

「オンとオフがかなり違う」と話す小笠原。試合では司令塔としてチームをけん引した 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

――チームを結成して3年。一番うれしかったことは何ですか?

 1年目は私も下手すぎたし、みんなが集まって練習しても、これではソチは無理だなとコーチとも話していました。自分自身も試合の感覚が全く取り戻せなかったので、「現役に復帰して良かったのかな」と思うこともありました。それでもみんながいろいろな犠牲を払って一緒にソチを目指すと集まったので、それが実となり、日本代表選考会に勝ったときもうれしかったんですけど、ここからまた1つ扉を開けるとなると重圧がのしかかってきました。苦しいドイツ(12月、五輪最終予選)までの3カ月を、自分なりにスキップとして、日本のカーリング界のためにも「私が閉ざしちゃダメだ」と、相当追い込んでいました。なので一番うれしかったのはドイツで勝ったことかな。ドイツで負けたら何もなかったので、(出場権を獲得した)ノルウェー戦に勝ったときが、人生の中で一番うれしい勝利だったと思います。

――五輪で勝ったことよりも?

 五輪はゴールの舞台となる試合なので。もちろんそこから目指すものもありますけど、どの競技も五輪に出場するまでが大変ですからね。

――小笠原選手にとって五輪はどういうものですか?

 最初は出場したいと思っていたものが、出てみるともっと上を目指し始めました。カーリングを広めたいというのはトリノ五輪のときはありました。バカにされ続けてきましたし、環境も悪かった。それを変えたかったし、スポーツだというのを見せつけたいという気持ちでやっていました。でもあまりにも急に盛り上がってしまって、本当にカーリングの醍醐味(だいごみ)が伝わっているのか分からない時期がありましたね。

 自分にとっての五輪は……何でしょうね。元々違う夢があったんですけど、カーリングが五輪競技になると聞いて、もしかしたらこんな自分でもチャンスあるかなと思ったんです。五輪に出るのが夢じゃなくて、「五輪で満足するものを残さないと夢はかなっていない」と思っているからこそ、また出たいという気持ちになったのかなと思います。

――五輪は小笠原選手自身を高めてくれるものということですね

 もしトリノ五輪でメダルを取っていても、キッパリやめられていなかったと思います。他の競技もそうですけど、金メダリストが戻ってきてやっているじゃないですか。自分から見たら「もう十分じゃないの、何でまだ頑張れるの」と思うんですけど、その競技が「好きだから」と言っている選手がいて、結局自分もそこなんだなと。好きだからこの競技を極めたい、五輪でやり切りたいという思いが、私だけじゃなく何回も挑戦する選手にはあるんじゃないかと思います。

<了>

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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