【柏レイソル】主将・古賀太陽が語る、接戦連勝で得た成功体験「2024Reysol Report Vol.8」

柏レイソル
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2試合連続のアディショナルタイムの決勝弾、大きなホーム連勝だった 【©️KASHIWA REYSOL】

 湘南ベルマーレ戦と北海道コンサドーレ札幌戦で連勝を飾った後、古賀太陽は「成功体験」という言葉を口にした。
 何を以て「成功」と言うか、その定義は様々である。準備してきたゲームプランどおりの展開へ持ち込み、自分たちの良さを発揮して、危なげない試合運びで勝つことが理想的であり、そんな勝ち方は間違いなく「成功」と言えるだろう。

 しかしサッカーは相手のあるスポーツである。自分たちが準備してきた戦い方がハマらないことや、相手がスカウティングとは全く異なる戦い方をしてくるケースなど珍しくはない。あるいは運に見放され、何をしてもうまくいかない、そんな試合がシーズンに何度か訪れる。その時に、悪い流れのまま勝点を落としてしまうのか。それとも粘り強く戦って勝点をモノにするのか。それが上位に行くチームと、下位に沈むチームが篩にかけられるところだろう。

去年は勝ちきれない試合の連続で苦悩の表情が続いた 【©️KASHIWA REYSOL】

 レイソルは昨季、シーズンを通じて残留争いを強いられる苦しい戦いが続いていた。内容が良くて勝ちきれないこともあれば、悪い内容の試合では、失点を機に一気に崩れることもあった。そのチームが、先日のコンサドーレ戦のような苦しい展開の試合で、後半アディショナルタイムでの決勝点で連勝を飾ったのである。苦しくても耐えていれば必ず勝つチャンスはある。チームが身を以て体感したその勝利こそが、古賀の言う「成功体験」であり、井原正巳監督も「最後の時間でもう1点取って勝利できたことは、少しずつチームが力をつけてきた証拠なのかなと思っています」とチームの成長を感じていた。
 ただ、我慢すると言っても、単に自陣に引きこもって、闇雲に守備をすれば良いわけではない。押し込まれながらも冷静に状況を把握し、的確な対応ができなければ、あの勝利はなし得なかった。
 その象徴的なシーンが、49分に繰り出した松本健太のビッグセーブだった。コンサドーレが後半からサイド攻撃の意識をより強め、展開を大きく変えるサイドチェンジのパスでピッチの幅を使いレイソルを揺さぶりにかかっていた。1−1の同点になった直後はコンサドーレが勢いづき、レイソルには若干バタつきも見られた。セカンドボールを拾ったキム・ゴンヒから青木亮太へパスが渡り、その対応に犬飼智也が出ていく。
「ワンくん(犬飼)が外に釣り出されて、太陽とワンくんの間が開いてしまったところは僕も見えていました。中に切れ込んだ青木選手が、真ん中のスパチョーク選手を見たんですが、そこも僕は見えていました」(松本)
 危険を察知した松本が守備陣へのコーチングで対応させようとしたときには、すでに青木からスパチョークへ縦パスが通されていた。「自分がコーチングしても間に合わない」と瞬間的に判断した松本は、そこで切り替えて「自分が止めることに意識を向けた」と一点に集中する。そして前を向いたスパチョークのシュートを、松本は食い止めた。
 もしここで失点を許していたなら、レイソルにとって立て続けの失点であり、逆転したコンサドーレの勢いは加速、より苦しい展開へ追い込まれていたに違いない。

ここ2戦は際どい場面を防いで、勝利に貢献したGK松本健太 【©️KASHIWA REYSOL】

 戦術的には修正箇所の多い試合だったが、相手に押し込まれる苦しい展開でも、パニックにならずに、苦しいなりに冷静さを保ち、相手を見ながら戦う。
 得点を狙う場面でも、失点を防ぐ場面でも、やはりサッカーにおいて勝負を決するゴール前の局面ではいかに冷静にプレーできるかが重要か。コンサドーレ戦の成功体験は、改めてそれをチームに知らしめてくれた。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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