クロフネの夢の続きをベルシャザールで=松田国英師「年度代表馬が究極の目標」

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休み明けでも走れるのがダート戦

JCダート以来休み明けのぶっつけ本番となるベルシャザール、でもダートなら問題なし 【netkeiba.com】

 ジャパンカップダートの後は、休養にあてられたベルシャザール。約3カ月ぶりの実戦になるフェブラリーSへ向けて、現在の様子は――。

「今までは550キロ台で(厩舎に)戻って来ましたが、今回は560キロ台なので、10キロ大きくなりました。ダートを使えば、だんだん大きくなるということですね。手足が長いので、その分動かす筋肉がもっと欲しいと思うんじゃないかな。東京大賞典ともう一つ使ってフェブラリーへというのが他の陣営のローテーションですけど、2走抜いてますので、その分大きいんじゃないでしょうか。どこか痛めたわけではなく休むというのは、馬にとって一番のプレゼントですよね」

 しかし気になるのは、ぶっつけでGIに挑む仕上がりだ。他の馬たちが前哨戦を使っている分、休み明けはマイナスにならないのだろうか。

「GIに向けて身を削いでいく芝に対して、ダートは久しぶりでも持っている資質で戦えると考えています。ダートの場合はパワーが必要なので、芝とは逆にご飯を食べないと走れない。腹周りがしっかりして来て、芝のように腹が巻き上がっては走れないんです。使って身を削いでいく芝に対して、ダートは身をつけて行くというか。だから、休み明けでもダートの方が持っている資質で勝負できるんです。もちろん、レースに向けてしっかり鍛錬することは必要ですし、実際何本も時計を出しているので不安はありません」

 手足の長いベルシャザールにとって、阪神1800mよりも東京マイルの舞台は合っているという。

「芝の馬でも鍛錬すればダートも大丈夫と言いましたけど、スタートだけは芝の方が、ポジションを取る時にスピードの乗り方が違いますよね。今回は引き込み線のスタートなので、3コーナーまで直線です。ダートの場合はどれだけスムーズにラチ沿いで先行出来るかどうかが大きいので、手足の長いベルシャザールにはポジションを取りやすい。それに、長い直線での追い比べになった時も、やはり大きく走れる馬が有利だと思うんです。ジャパンカップダートよりも、向く舞台ですね」

 今年のフェブラリーSは、強豪揃いと言われたジャパンカップダートよりも、さらに豪華な顔ぶれになりそうだ。

「今ダート界はすごいメンバーですよね。フェブラリーSは、ホッコータルマエを始めジャパンカップダートで戦った馬たちプラス、1400mで戦って来た馬たちが出て来るという構図が、面白いんじゃないかなと。より、広がりますよね。武蔵野Sが終わった時には、フェブラリーSはもっと戦いやすいだろうと思ってましたけど。まさかこれだけ相手が強くなるとは、嬉しい限りです。世界中の強い馬がみんな集まって競馬しているくらいのプレッシャーを感じますね。相手はもうやってみないとわからないです」

ドバイへの挑戦、クロフネの夢の続きを

クロフネの夢の続きを――究極の目標はダート馬での年度代表馬 【netkeiba.com】

 激戦必至のフェブラリーSを戦った後は、ドバイワールドカップへの挑戦が待っている。

「タペタの馬場はグリップがしっかりしているので、手足の長い馬が絶対に有利ですよね。軽い馬場で、路盤が安定していて、グリップの滑りがないというのは、手足が長い馬は歩幅を大きく取れるので、ベルシャザールの動きに合うんじゃないかなと。
 勝つか負けるかは相手のことも大きいですが、でもジャパンカップダートの舞台よりもフェブラリーSの方がいいだろうし、フェブラリーSのダートの馬場よりも、タペタという馬場はいいのかなという感じはします」

 ジャパンカップダートを制したことで、2013年のJRA賞・最優秀ダートホースに選ばれたベルシャザール。今年はさらなる飛躍が期待されている。

「年明け早々にJRA賞(の発表)がありましたけど、一番最後の東京大賞典を勝った馬がJRA賞に相応しいんじゃないかと、自分の周りの記者の人たちは言ってました。だから投票が終わった後は、『ごめんなさい。僕はホッコータルマエに入れました』ってみんなに言われて。ほとんど諦めていたんですけど、それでもJRA賞をいただけたので、本当に有難いです。JRA賞をいただいたことで、よりフェブラリーSは勝たなければいけないレースだと思いました」

 フェブラリーS、ドバイへの挑戦……クロフネで果たせなかった夢は、ベルシャザールの背に乗って大きく広がって行く。

「今度は一番大きい賞を狙ってます。フェブラリーSを勝つ、ドバイで勝つ、今度新しいネーミングの年末の新しいレースを勝つ。芝で活躍する馬たちにどう対抗するのか。レースの半分はダートですからね。今は夢物語かもしれないけれど、ダートで年度代表馬を狙うのが究極の目標です」

 武蔵野Sからジャパンカップダートという、現実にクロフネが歩んだ道のりを通って来た。そしてここからは、新たな夢が始まる。

<了>

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