クロフネの夢の続きをベルシャザールで=松田国英師「年度代表馬が究極の目標」

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ベルシャザール(中)が厩舎の偉大な先輩・クロフネの夢を追う 【netkeiba.com】

 砂の猛者たちが集結したジャパンカップダートを制して、一気にダート界の頂点に立ったベルシャザール。ダービー3着の実績から舞台を砂に移し、新たな輝きを放ち始めた。伝説の名馬クロフネが歩んだ道を突き進む新ダート王について、松田国英調教師に語ってもらった。(取材・文:赤見千尋)

ダービー3着馬がダートへ、選択肢は一つだった

ベルシャザールのダート転向の理由を松田国師が語る 【netkeiba.com】

 出走馬16頭中9頭がGI馬という驚異的なメンバーが集結した、昨年のジャパンカップダート。この頂上決戦を制し、新ダート王に輝いたのが、芝路線で活躍して来たベルシャザールだ。

「クロフネという芝でもすごく走った馬が、ダートに出走させたらすごく強かったというのを踏まえてますから、たくさんのGI馬がいる中でも自信がありました。ただ、手足が長い分、阪神の1800mはどうかと思っていたのですが、結果的に2コーナーから3コーナーにかけてポジションを上げて行ったことが勝因でしたね。前の馬を捕まえられたし、後ろから来る馬も封じ込められた。接戦だっただけに、ルメール騎手の絶妙の手腕が物を言いました」

 手足の長い体、そしてダービー3着という芝での実績。ダートへの転向は、一見突飛なようにも感じる。しかし、この馬を種牡馬にするためには、他に選択肢はなかったという。

「ダービー3着だけでは、種馬にはなれません。大きい所を勝たないと、なかなか難しい。長期休養があり、故障があって、ノドの手術もしました。その中で壊さないように大きい所を勝つとなると、ダートに転換することを受け入れざるを得なかったんです」

これまで携わって来たすべての馬たちのお蔭

キングカメハメハ(写真)をはじめ、これまで携わってきた馬たちのおかげでベルシャザールとも巡り会えた 【netkeiba.com】

 松田国英調教師は、これまで何頭もの名馬を育てて来た。クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハ、ダイワスカーレット。名前を挙げれば、歴史に残る名馬がズラリと並ぶ。しかし、数々の栄光と同時に、走る馬に対する故障の恐怖を抱えることになった。

「“走る馬”というのと“壊れる”というのは、同じに聞こえるんです。誰も壊したくないけれど、やはり壊れるということは、やってはいけない世界、レッドゾーンに入ってしまうわけで、そこへ行ったというのは申し訳が立たないぞと。
 壊れるということは、道半ばにして物語が完結していないってことですよね。クロフネがフェブラリーSに行って、海外遠征へっていうのは、相当みなさんが心待ちにしていたと思うんです。それなのに、簡単に終止符を打たれてしまって……。それをまたそういう馬に巡り会えて、馬主さんはじめ周りの人たちが、クロフネと同じ路線を支持してくれるというのは……。実際なかなかあり得ないですし、本当に有難いです」

 これまで携わって来たすべての馬たちのお蔭で、ベルシャザールに出会うことが出来たという。

「クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハ、ダイワスカーレット……本当に感謝しています。他の馬たちも、名前を出してなくて申し訳ないですね。本当に忘れない。すべての馬の名前を報道を通じてみなさんに声高に聞いてもらいたいです。積み重ねてこなければ、調教師になりましたで、すぐにベルシャザールに出会うというわけにはいかないですから。
 それに、うちのスタッフが頑張ってくれているから、夢の続きをべルシャザールで見られるんです。担当している者がキングカメハメハを担当していた者であるというのも、調教師も少ない頭数の中でベルシャザールと巡り合えて、担当している者はもっと狭い頭数の中で巡り合った。キングカメハメハの仔でGIを勝つ、海外に挑戦出来るというのは、本当に嬉しいですね」

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