女子メダル争いは日本vs.ロシア! ヨナは未知数=澤田亜紀の女子フィギュア展望・前編
金メダルを目指す浅田(左)。地元ロシアの15歳リプニツカヤは有力なライバルだ/写真左:坂本清、同右Getty Images 【スポーツナビ】
海外勢では、前回バンクーバー五輪金メダルのキム・ヨナ(韓国)、グランプリファイナル準優勝の15歳ユリア・リプニツカヤ(ロシア)らがエントリーしている。
表彰台争い有力選手は誰か、各選手の勝負の鍵は!?
スポーツナビでは、5つの3回転など力強いジャンプや氷上での明るい笑顔が持ち味で、2007年四大陸選手権、04年全日本選手権で4位に入るなどの成績を残した澤田亜紀さんに、見どころを語ってもらった。
日本のライバル ロシアの15歳と17歳
まずロシアのリプニツカヤ選手ですが、12月頭のGPファイナルではショートプログラム(SP)もフリー(FS)もプログラムの物語に引き込まれるような良い演技でした。ジャンプも高さがありました。彼女の良いところは、ジャンプが流れの中で跳べるところ。滑ってきて、ジャンプして、また滑ってと動きが途切れずに、すべてつながっているようなところが良いです。
他にも本当に特技がたくさんあり過ぎて盛りだくさん。体が柔らかいので、脚を一直線に上げるスパイラルやスピンが強みのひとつになります。出来栄え点(GOE)で得点を稼ぐのが狙いだと思います。自分の一番見せたいもの、武器をたくさん持っている選手で楽しみですね。
ロシアのもう1人の代表、ソトニコワ選手は1月末の欧州選手権のFSでミスをリカバリーする演技をしていました。演技前半で跳べなかったコンビネーションジャンプを後半に持ってくるなど、ミスをしても引きずらない様子で自信を持って着氷していました。まだ17歳ですが場数を踏んでいるので、演技に余裕があって、間の取り方が上手い選手です。
跳び過ぎもダメ…真央の鍵、アクセルジャンプ
ジャンプはもちろん、ほかの要素の“質”も重要 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
アクセルは高さが出やすいジャンプなのですが、高く跳び過ぎるとランディング(着氷から着氷後の流れ)が難しくなってしまいます。試合と練習とでは、緊張で筋肉の感覚が違いますが、場数を踏むと「この緊張の感じだと、今日は跳び過ぎそうだな」とか選手は分かるので、その辺は調整してくると思います。
また加点をもらうために、質の良いスピン、ステップが絶対に必要です。12月の全日本選手権ではSP、FSともに力みも出ていた様子でした。
ただ浅田選手は、一番大事なところでピントを合わせて、ピークを持ってくるのではないでしょうか。失敗があったから次はこうしようというのは見えていると思います。今季の前半は、試合後に「課題は見つかった」とよく言っていた気がします。
全日本の試合後のコメントを聞いた印象ですと満足そうではなかったですし、確か3連続の1つが回転不足で1回転になっていました。プログラムは五輪にピークを持ってきて完成させると思うので、悔いがないように、精度を上げて臨んでほしいですね。