帝京大、心からの涙が本気の挑戦へ トヨタに敗戦も「面白くなってきた」
「打倒・トップリーグ」を目指した帝京大
帝京大は後半に磯田(右)のトライなどで追い上げたが、「打倒・トップリーグ」ならず 【写真は共同】
結果は13対38、帝京大にとって今シーズン初の黒星は、惨敗でもなければ惜敗でもなかった。15人中9人が代表もしくは7人制代表経験者で、リザーブには2011年のワールドカップ優勝メンバー(ジェローム・カイノ/NZ)も控える強力なトヨタ自動車の布陣に対し、善戦し、見せ場もあった。だが、勝てる雰囲気はつくることができなかった。
先手を取ったのはトヨタ自動車。「苦い経験をしているので」と、8シーズン前は選手だった廣瀬佳司監督を筆頭に、かつての教訓を忘れず、油断や慢心はなかった。「僕が入部する前ですが、大学生相手に負けていたので、同じ社会人だと思い、この1週間、準備してきました。自分たちからスイッチを入れようとしました」(フランカー安藤泰洋)と最初から、特にセットプレーでプレッシャーをかける。
密集での攻防は「自分たちの強みと確認できた」
一気に崩れてしまうのか……と頭をよぎったが、大学王者は、ここから真価を見せる。相手のフィジカルを軸にした「アタック・シェイプ」に対し、中盤の選手が前に出て外側へのパスを遮断するディフェンスでプレッシャーをかける。さらに「ブレイクダウンでは社会人の方が経験を積んでいてうまさがあったが、負けている感じはしなかった。自分たちの強みであると確認できた」とセンター中村亮土主将(4年)が振り返ったように、接点は、特に2人目、3人目の寄りが早いときは、決して劣勢ではなかった。
次第に敵陣でのプレー時間が増えてくると、帝京大の攻撃にリズムが出てくる。「フェイズ(攻撃回数)を重ねればゲインできた」(中村主将)。34分にはPGを決め、前半を3対17で折り返す。さらに、後半は「もう一度、集中力を持って思い切りやろう」と岩出雅之監督に送り出された赤いジャージーが躍動する。