帝京大、心からの涙が本気の挑戦へ トヨタに敗戦も「面白くなってきた」
奪った2トライに手応え「アタックは通用した」
帝京大・中村(右)は激しいタックルで、グラウンド脇の雪のかたまりまで相手をはじき飛ばす 【写真は共同】
だが、セットプレーが相変わらず劣勢だったことに加え、前に出ようとする意識が強いあまり頭が下がってしまい、タックルで相手を確実に止められない。そうなると組織ディフェンスでほころびを見せ、さらに2トライを許した。それでも、最後まであきらめない帝京大は33分、ゴール前のラックの連続から、相手のディフェンスの間を、松田のパスからフルバック竹田宜純(4年)が切り裂き、2つ目のトライを挙げて一矢を報いた。
帝京大の2つのトライは完全に社会人のディフェンスを崩して生まれた。1年間、積み上げてきた練習の証しだった。来シーズンの主将に決まった流は「アタックは通用した。この1年間、戦術や戦い方を妥協せずに考えてきた」と胸を張った。それでもセットプレーはもちろんのこと、トップリーグに勝つためには課題は多い。副将のナンバーエイト李聖彰は「ディフェンスで食い込まれてペナルティーをしてしまったところなど細かいところを修正すれば」と冷静に振り返った。
1年生・松田「負けた悔しさから泣いてしまった」
試合後、円陣の中で学生活最後の試合となった4年生だけでなく、3年生の流が涙を見せ、1年生の松田も嗚咽(おえつ)する。「4年生たちともうラグビーができないという思いと、試合に負けた悔しさから泣いてしまいました」(松田)。心からの涙が、本気の挑戦に変わる。1年後、再び同じ舞台で、さらなる進化を遂げた帝京大の姿が見られるはずだ。
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