沙羅、真央…15歳、スノボ平野に熱視線=海外メディア注目の日本人選手は!?

内田暁

沙羅の金 米スポーツ誌、AP通信も太鼓判

女子ジャンプの高梨沙羅。APと『スポイラ』から“金当確”の太鼓判 【写真は共同】

 米国の権威あるスポーツ専門誌『スポーツ・イラストレイテッド』恒例のメダル予想で、日本からはフィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)とジャンプ女子の高梨沙羅(クラレ)が金メダルに輝くと報じられた。その他の日本勢では、スノーボードハーフパイプの平野歩夢(バートン)が銀メダル。スピードスケート男子500メートルの加藤条治(日本電産サンキョー)とスノーボード女子パラレル大回転の竹内智香(広島ガス)、さらにフィギュアスケートの浅田真央(中京大)が銅メダルを取ると予想されている。ちなみに女子フィギュアスケートで金メダルとされているのが、前回の2010年バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(韓国)だ。

 米国最大の通信社AP(アソシエーテッド・プレス)のメダル予想も、獲得者はおおむね同じだが、その色は多少異なる。フィギュアスケートの羽生は銀で、浅田もやはりキム・ヨナに次いで銀。スピードスケート500メートルで日本人が銀を取るというのは『スポイラ』と同じだが、獲得者は長島圭一郎(日本電産サンキョー)となっている。スノーボードの平野は銀、竹内もこちらのAP予想では銀。
 そして、APと『スポイラ』の両方から“金当確”の太鼓判を押されているのが、ジャンプの高梨である。

英BBCも沙羅を紹介

 今大会からの正式種目ということもあってか、あるいは小柄な身体とダイナミックな跳躍のギャップは洋の東西を問わず人々の興味を引くのだろうか。あどけない素顔の少女への、世界的な注目度は高いようだ。英国のBBCは「メダルが期待される世界の10人のアスリート」の一人として、高梨を取り上げている。
「彼女は10月に17歳になったばかり。だが高梨の現在の仕上がりは、ソチから正式種目になる女子スキージャンプにおいて、彼女がメダルの最有力候補であることを示している」

 そのような書き出しで始まるこの記事は、高梨が16歳にしてワールドカップの最年少優勝者になったことや、今季の成績など輝かしい経歴の数々を紹介。また、彼女がジャンプ一家の出自であり競技に出会ったのが8歳であることや、突出したバランス感覚は幼少期に習ったバレエで養ったとも記載されている。
「最初は怖かったけれど、飛んだ時はすごく楽しかった。まるで、鳥になったようだった」
 そんなコメントも交えつつ、彼女の愛らしい人柄をも連想させる内容となっている。

15歳のスノボ平野 “本場”米が注目

15歳の平野歩夢。王者ホワイトを脅かす存在として報じられている 【写真は共同】

 米国での注目度ということで言うと、この国の“ウインタースポーツの国技”とも言えるスノーボードハーフパイプで台頭する、平野への注視は熱い。何しろ米国には、圧倒的な金メダル候補と目される、スーパースターのショーン・ホワイトがいる。15歳の平野は、そのホワイトを脅かす存在として驚異の目でも見られているのだろう。

『スポーツ・イラストレイテッド』の電子版は昨年末、「彼はまだ15歳。だが平野歩夢は、ショーン・ホワイトの最大の脅威」と題した記事を掲載した。「弱冠15歳にして、彼は既に、世界最高のボーダーの行く手を阻む存在だ」と平野をまずは定義し、そうして彼が言葉数が少ない――特に英語での取材がほとんどできない――ことを嘆きつつも、「言葉で語らずとも、彼のパフォーマンスは雄弁だ」と、その高いテクニックの数々を紹介している。通訳を介した「スノーボードを怖いと思ったことはない」というコメントを取り上げ、「彼が恐れを知らないことは、通訳の助けを借りずとも演技を見れば一目瞭然だ。まるでサーカスの大砲から打ち出されたように、ハーフパイプの縁(ふち)よりはるか24フィート(約7メートル)上空を舞い、トリックを決め、そして着地するのだから」ともつづっている。この記事は最後、平野が直近のXゲームで着地に失敗したことに触れつつも「たとえ多少の痛みがあろうとも、平野はホワイトに次ぐ銀メダルを取るだろう」と予想。そして、3ページに及ぶコラムは、次の一文で締めくくられる。「彼がホワイトの後塵を拝するのも、それほど長くはないだろう」

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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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