巨人・杉内、プロ13年目の正念場 33歳、復活のカギはどこにある?

ベースボール・タイムズ

「三振が一番分かりやすいですから」

[表2]各球種ともに奪空振り率が落ちているが、特にチェンジアップが顕著だ 【データ提供:データスタジアム株式会社】

「プロ1年目から練習はしていた。それを実際に試合で使えるようになるまでには3、4年かかった」というチェンジアップ。「まず、腕を振ること。ストレートを投げる時以上に腕を振るというイメージ。例え真ん中に行ってしまってもフォークと違ってホームランになりにくい便利な球だと思います」と杉内は説明する。

 その“便利な”チェンジアップを生かすためには、投球の半数近くを占めるストレートの切れ、球威の復活も必要不可欠だろう。ストレートが走り、チェンジアップが生きれば、“伝家の宝刀”であるスライダーの威力は再び戻るはずだ。「タマゴが先か、ニワトリが先か」の議論にはなるが、その結果として“三振数”が杉内にとっての重要なバロメーターであることは確かだろう。

 杉内は言う。「三振を獲れるピッチャーを目指したい。見ている方も三振が一番分かりやすいですから」。復活の成否を判別する上でも、三振が最も分かりやすい。

復活の手段と方法を知る33歳

[表3]チェンジアップの復活が杉内浮上の鍵を握っているか 【データ提供:データスタジアム株式会社】

 杉内自身、昨季の成績、投球内容ともに満足していない。そして今季を復活のシーズンと位置付けている。以前、スランプからの脱出方法を聞いた時の、杉内の答えはこうだった。
「変えるところと変えないところをしっかりと自分の中で理解すること。僕の場合はいろいろと考え過ぎちゃうので、自分の投球ビデオなんかも見ないようにしている。その日その日の投げやすいフォームで投げるのが一番良い」

 かつては成績の良いシーズンと悪いシーズンが交互に訪れて“隔年投手”と呼ばれたこともある男だが、それはそれだけ悪い時期を何度も乗り越えてきた証であり、悪いシーズンからの立て直し方を知っているとも言える。

 33歳で迎えるプロ13年目のシーズン。35歳となった筆者を含む「まだまだやれるはず」と思っている同年代のためにも、「衰えなどではない」というところを是非とも見せて欲しい。外様選手に対しては決して優しいとは言えない巨人軍。過去にとらわれることのない「その日の投げやすいフォーム」で、背番号18・杉内が、正念場のシーズンに向かう。

<了>

(文:三和直樹/ベースボール・タイムズ、データ提供:データスタジアム株式会社)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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