出場校出そろったセンバツの勢力図を探る 新たなスター誕生の予感
巻き返しを狙う近畿勢も注目
昨年、春夏ともにベスト8に残れなかった近畿勢は上位進出なるだろうか。写真は喜ぶ龍谷大平安高の選手 【写真は共同】
王者の龍谷大平安高は春夏合わせて70回目の出場。秋は1年生左腕の高橋奎二がエースとして台頭したが、甲子園のマウンドは初めて。主将の河合泰聖、遊撃手の石川拓弥といった昨年の選抜経験者がいかに支えるかが、上位進出へのカギとなりそう。
智弁和歌山高は昨年、春夏とも甲子園出場を逃した。例年以上に長くなった夏休みに、振り込んだ打撃陣は近畿大会3試合連続コールド勝ちという結果を残した。投手陣は大黒柱が不在だが、ケガでベンチを外れていた1年生左腕の斎藤祐太が復調するようだと、久々に全国制覇を狙えるだけの力を秘める。
4年連続の春となった履正社高は、1年生右腕の溝田悠人と永谷暢章がダブルエース。2人の球を受ける捕手がポイントで、6番打者で打撃力のある八田夏と昨夏はレギュラーだった中村尚也を擁する。どちらが本番でのマスクを被る存在になれるかが注目と言えるだろう。
試合巧者の報徳学園高は、近畿準決勝(智弁和歌山高戦)での大敗で、投手力という大きな課題が露呈した。ただ、ベスト4に進出した2009年のチームは、主戦投手が秋の防御率最下位という数字ながら、春の舞台では別人のように成長した姿を見せている。この時のチームの雰囲気と似ている気がしてならない。
プロ注目選手の“進化”も期待
投手は佐野日大高の左腕・田嶋大樹。秋の県大会では5試合連続で無失点、決勝では後に関東大会を制する白鴎大足利高を2安打に抑えた。関東では東海大甲府高、横浜高からそれぞれ11個の三振を奪うなど、噂に違わぬ好投。足首を痛めて敗れた準決勝の桐生第一高戦でも、力を抜いた投球術を見せて、1失点で踏ん張った。最速145キロを誇るストレートだけでなく、苦境で思考を変える投球スタイルに、早くもプロからの熱視線が注がれている。
打者では智弁学園高の岡本和真。1年時からレギュラーをつかみ、2年秋で高校通算本塁打が56本に上った。近畿大会でも初戦(八日市高戦)で本塁打を放ち、「まともに勝負にいってはいけない」という意識を相手投手に植え付けるほどのインパクトを持つ。課題は警戒されて勝負を避けられた時に、冷静さを保てるか。龍谷大平安高戦では、高めのボール球に、3ボール0ストライクから手を出してしまう場面があった。小坂将商監督も試合後にその辺りを指摘しており、春にどれだけ克服できているかどうか注目だ。
その他、明治神宮大会で強烈な一発を放った日本文理高の飯塚、関東大会決勝での打撃が目を引いた桐生第一高の1年生・山田知輝などが投打で将来を嘱望されている。
ここまで秋までの戦いぶりをもとに有力なチーム、選手を探ってみた。しかし、冬場で見違えるほどの成長を遂げるのが高校生。春の訪れまで残り1カ月弱――それを楽しみに待ちたい。
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