サムライたちのブンデスリーガ前半戦=日本代表選手のドイツでの評価と課題
前半戦未勝利のニュルンベルクで苦しむ長谷部と清武
チーム低迷とともに、苦しい状況にいる清武(左)と長谷部(中央) 【Getty Images】
ニュルンベルクで2年目を迎える清武に対し、長谷部はシーズンが開幕してから加入してきた。ボルフスブルクでブンデスリーガ135試合を戦い、リーグ優勝も経験した日本代表キャプテンには、ベルギー人のティミー・シモンズが抜けた中盤で、守備的なポジションを埋める役割が期待された。そして第4節以降の全試合にフル出場すると、良い意味でも悪い意味でも「裏切り」のないプレーを披露。チームがあと一歩で勝利を逃してきたように、長谷部も新天地での初ゴールをものにできない場面もあった。シュートがバーやポストに嫌われた回数は、チーム全体で実に16回。「これだけ長く勝てないのは、間違いなく初めてのこと」と嘆く長谷部は、ウィンターブレイクを転機とする必要性を感じている。
監督がミハエル・ビージンガーからゲルティアン・ファーベークに代わるや否や、オランダ人指揮官による変化は見えてきた。新監督の攻撃的な哲学は、清武には特に合っている。ドイツでの初シーズンに4得点11アシストを記録した清武だけに、ここまでの2ゴール4アシストという個人成績は後半戦の巻き返しへの期待となる。だが清武が、ドイツメディアから「シーズン前半戦の敗者」に選ばれたことは事実だ。ある新聞はこう記した。「夏には、読者は清武を2012−13シーズンのMVPに選出した。あれから6カ月が経ち、キヨは本当の墜落を経験することとなった」
ニュルンベルクの危機は、清武にとっても危機である。昨季のブレーメン戦での輝きは、幻であるかのようだ。イングランドのアストンビラが、この23歳の獲得に1000万ユーロ(約14億円)を用意したと報じられたこともある。シーズン前、清武は「シーズンを通じて安定したパフォーマンスをすることが、僕の目標です」と話していた。その目標に少しでも近づくため、シーズンはあと半分残されている。
乾、酒井宏、酒井高、それぞれの現在地
小柄な日本人MFの先発機会は、わずか8試合。その理由の一つは、シャルケからレンタルで加入したトランクイッロ・バルネッタの存在だ。アルミン・フェー監督はこのスイス人MFを起用し、代わりに乾がベンチに座る機会が増えた。『キッカー』誌で指揮官は「個人に対するジャッジはできない。大きな絵を描かなければならないからだ」と話している。結果として乾は、今季のリーグ戦でゴールもアシストも記録していない。中央でのプレーは、昨季までの左ウィングとしての鋭さを見せてはいない。システム内での多くの変更に苦しんでいる最中だ。
序盤は好調にスタートしたハノーファーは、長期にわたり成功を収めてきたミルコ・スロムカ監督をクリスマスの後に解任した。そんな中でも、酒井宏樹は勝者に属すると言える。ハノーファーは、キャプテンでありカルト的な人気を誇るスティーブン・チェルンドロを負傷で長く欠くことになったが、それこそが酒井宏が16試合も先発できた大きな理由である。一度つかんだ上昇気流は、良いタイミングでこの23歳への継続的な追い風となった。バイエルン戦では、ヨーロッパの年間MVPに輝いたフランク・リベリを相手に、納得のパフォーマンスを披露。以来、ハノーファーにおいて、この日本人が何をできるか、誰もが知るところとなった。今後の注目は、チェルンドロが復帰を果たした以降も、タイフン・コルクト新監督の下、これまで同様のプレーを見せることができるかどうかである。
シュツットガルトの酒井高徳も、今季早々に監督交代を経験した。8月にユースチームの監督だったトーマス・シュナイダーが、ブルーノ・ラバディア前監督の仕事を引き継ぐことになったのだ。だが、酒井高の立場が変わることはなく、サイドバックとしてのレギュラーポジションをしっかりとつかんでいる。ほとんどは右サイドでの出場だが、必要とされる時には左サイドもこなしている。ただし1アシストというのは、相手への危険度としては物足りないものだ。もしもシュツットガルトがシーズン終了後も中位以上に踏みとどまりたいなら、これは2014年に改善されなければならない課題だ。
<了>
(翻訳:杉山孝)