“一貫性”欠く香川に向けられる懐疑の目=いまだ本領発揮できず、厳しい評価が続く
約1カ月ぶりのフル出場も低調な出来に
スウォンジー戦でフル出場した香川(右)だが、低調な出来に終わった 【Getty Images】
思えば、2013−14シーズン序盤、香川はほとんど出場機会を得られなかった。彼をドイツから誘い出した張本人であるアレックス・ファーガソン監督が勇退したこと、コンフェデレーションズカップやプレミア開幕直前の日本代表戦の影響による調整遅れ、序盤に大一番が続き、デイビット・モイズ新監督が経験豊富な選手を優先する現実的な采配を好んだことなど理由は多々あったが、リーグ初先発のチャンスは、9月28日の第6節ウェストブロムウィッチ戦まで待たなければならなかった。
その間、27年にわたってクラブを率いた名将を失ったチームはスランプに苦しみ、現地メディアにも「香川はどこに行った?」(ガーディアン)、「今季のユナイテッドにはエリア近辺のイマジネーションが欠けている。香川はそれを提供できる選手だ」(デイリー・ミラー)など、起用を待望する意見も散見された。
少ないチャンスを生かしたCLでの活躍
そんな中、香川が少ないチャンスを生かしたのはチャンピオンズリーグ(CL)の舞台だった。まずは10月23日、今季初のフル出場となったホームのレアル・ソシエダ戦(1−0勝)で、モイズ監督に「いい選手とは聞いていたが、私自身の目で本来のシンジを見たのは今夜が初めて」と言わしめた。続く11月5日、今度はアウエーでレアル・ソシエダ(0−0)と戦ったリターンレグでも91分間プレーし、再び賛辞を集めた。中でも『ガーディアン』は、パトリス・エヴラと香川が形成する左サイドのコンビを「エバートン時代のモイズ戦術を思わせる」とし、モイズが作り上げたエバートンの看板コンビ、レイトン・ベインズ&スティーヴン・ピーナールと重ね合わせた。「モイズは香川の特徴を受け入れるのに時間がかかったが、今夜は香川のベストゲームのひとつだった」とつづった。
5−0で大勝した11月27日レバークーゼン戦で評価は確固たるものになる。ロビン・ファン・ペルシー欠場の試合でフル出場した香川は各メディアで絶賛された。「ウェイン・ルーニーの後ろで珍しく得意な“ホール(トップ下)”ポジションを与えられ、ドルトムント時代の輝きを見せた」(ガーディアン)、「中央でのチャンスを最大限に活用し、目に見えて活性化していた」(スカイスポーツ)、「とてもクリエーティブで見ていてワクワクする選手だ。そしてチャンスを作り出していた。最高だったね」(クラブOBのリー・シャープ)。CLの3試合で、モイズの“香川評”は確かに変化した。それは間違いない。この時期から、香川はプレミアリーグでも先発に名を連ねるようになってきた。