今季に懸けるペイサーズの大勝負=打倒ヒートを掲げる“必殺仕事人集団”

杉浦大介

チームが若くとも、今季が勝負!?

ペイサーズのインサイドの要となるヒバートも27歳。まだまだ成長できる年齢だが…… 【Getty Images】

 ジョージは23歳、ヒバートも27歳とイン&アウトの両輪がまだ若いこともあり、ペイサーズの将来性は高く評価されている。例え今季に再びヒートに屈しても、またチャンスは来ると考える関係者もいる。
 ただ……、このチームを率いるフランク・ボーゲルHCは、そんな長期視野での楽観論に同意しない。
「今そろっている陣容で数年後まで戦うことはできないかもしれない。これから先も、現在以上のチャンスは訪れないかもしれない。過去2年もそう考えてきたけど、今年も間違いなく同じように感じているよ」

 その言葉通り、スティーブンソン、ベテランのダニー・グレンジャーは今季後にFAになり、残留するかは定かではない。今季が新人時に結んだ契約(年俸330万ドル、約3億5000万円)の最終年にあたるジョージは来季には一気に1370万ドル(約14億3000万円)に昇給し、サラリーキャップの関係で周囲の補強は難しくなる。何より、今季のペイサーズが奏でる美しいケミストリーが来季以降も健在とは限らない。

カンファレンス決勝はとてつもない死闘の予感

 今も昔も新陳代謝の激しい米スポーツ界では、王座に続く扉はそれほど長くは開いていない。ルイス・スコラ、CJ・ワトソンが加入し、故障に苦しんできたグレンジャーが復帰したことで、今季のペイサーズはヒート以上に層の厚いチームになった。
 時を同じくして、膝の故障に悩まされ続けるヒートのウェイドは近年最低の平均得点に止まっている。だとすれば、タイミング的に、やはり2013−14シーズンこそが王者を倒す絶好のチャンスか……。

 敵はマイアミにあり――。「目標は去年と変わらない。頭にあるのはヒートに勝つことだけ」とウエストが語る通り、インディアナの職人たちは宿敵への対抗意識を隠していない。今が全盛期の怪物レブロンにプレーオフで挑むリマッチは、ペイサーズにとってフランチャイズ史上に残る大勝負となるのだろう。

 間もなく2013年が終了し、新年が始まる。それと同時に、カウントダウンを始めよう。レギュラーシーズン、プレーオフの序盤ラウンドは、その後に行なわれる最終バトルへの単なるプロローグに過ぎない。

 断言しても良いが、来年5月のイースタン・カンファレンス・ファイナルはNBAファンを震撼させるほどのとてつもない死闘になる。激しく、美しいライバル同士のシリーズは、長期戦の末、ドラマチックな結末を迎えることが運命づけられた戦いなのである。

<了>

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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