今季に懸けるペイサーズの大勝負=打倒ヒートを掲げる“必殺仕事人集団”
2強になりつつあるペイサーズとヒート
イースタンカンファレンスでヒートの最大のライバルとなるペイサーズ。ポール・ジョージ(手前)がエースに成長している 【Getty Images】
「これから3カ月も対戦できないことを悲しくすら感じるよ。ライバル関係は良いものだね。お互いの最高の部分を引き出し合えるから」
18日の試合後には、3連覇を狙うヒートのレブロン・ジェームスもそう語ったと伝えられている。当の選手たちも喜びを抱くほど、この2度の対戦で両者はシーズン中としては最高レベルの好ゲームを繰り広げた。
イースタン・カンファレンスの2強と目されるペイサーズとヒートは、今季最初の直接対決で1勝1敗(10日:ヒート 84−90 ペイサーズ、18日:ヒート 97−94 ペイサーズ)と星を分け、3、4月に予定されるシーズン中の残り2戦でも激闘を繰り広げることが濃厚。さらに来春のプレーオフでは、6、7戦にもつれ込む劇的なシリーズを展開することは確実と見られている。
「僕たちは良いプレーができていると思う。ヒートと僕たちはタレント数の面ではほぼ同等。経験では劣っているかもしれないけど、学んでいる最中だ。開幕から好スタートが切れて、他のチームを引き離すことができたのは大きかった」
12月23日にブルックリンでのネッツ戦に臨んだ際、ペイサーズのエースに成長したポール・ジョージもそう語っていた。
実際に今季開幕9連勝と絶好のスタートを切ったペイサーズは、その後もヒートを上回ってイースタンの1位を堅持。ニューヨーク・ニックス、ブルックリン・ネッツの予想外の低迷、シカゴ・ブルズのデリック・ローズの故障もあって、イースタンの争いはすでに2強に絞られたと言って大げさではない。
中でも昨季カンファレンス・ファイナルでヒートを第7戦まで追い詰め、その後にさらに戦力アップしたペイサーズからは、“今年こそが自分たちの年”という強烈な意気込みが伝わってくる。
将来を嘱望された選手はいないが、守備力が売り物
入団直後から将来を嘱望された選手はスタメン内にゼロ。ドラフト指名順を見ても、ジョージは2010年全体10位、大型センターのロイ・ヒバートは2008年の同17位、身体能力が売りのランス・スティーブンソンは2010年の同40位、精神的支柱のデビッド・ウエストは2003年の同18位、司令塔役を務めるジョージ・ヒルは2008年の同26位……。
決して華やかなチームではなく、失点の少なさでリーグ1位という守備力が売り物。最高守備選手の有力候補となりそうなヒバートを中央に据えたディフェンスでロースコアゲームに持ち込む。そして、新スターとして売り出し中のジョージを中心に必要な得点を奪っていくのが勝利パターンである。
玄人好みの“必殺仕事人集団”。高校時代から“選ばれし男”と呼ばれたレブロンを始め、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュといったきらびやかなスターに率いられたヒートとは対照的なチームカラーと言って良い。そんな両チームが現在のNBAで最高のライバル関係を築きつつあることで、このリーグに新たな彩りが添えられたことは間違いないだろう。