40歳までの結婚、3年後の五輪出場――大山志保、ゴルフ人生の新章が幕開け

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09年から紆余曲折を経ての復活優勝

今季最終戦で2年ぶりの復活優勝を果たし、笑顔を見せた大山志保 【写真は共同】

 2013年の国内女子ツアーは最終戦で森田理香子が横峯さくらとの賞金女王争いを約130万円差で逃げ切り、初の女王獲得で幕を閉じた。しかし、その最終戦で06年の賞金女王・大山志保が2年ぶりの復活優勝を果たし、地元の宮崎で最高の笑顔を咲かせたことを覚えている人はどれだけいるだろう。

 女王となって以来、大山のゴルフ人生は文字通り紆余曲折だった。国内ツアー11勝という実績をひっさげ09年には米女子ツアーに挑戦したが、シーズン後半にはその前から痛めていた左ひじを悪化させて1年で帰国。半年のブランクを経て復活後、11年秋には2年半ぶりの12勝目を果たしたものの、そのオフには左肩を痛めて再び戦線離脱となった。

 12年には10試合しか出場できず、シード権を失いクオリファイを経て今季のツアー出場資格を掴んだ。しかし大山の苦悶は終わらなかった。成績を見るかぎり、前半戦からトップ5以内が4試合と好成績だったが「スイングがおかしいというか、真っすぐに飛ばなくて。これは私のゴルフじゃないって悩み続けました」。違和感の中でプレーを続けたせいか、6月には股関節を痛めて、またもや約2カ月の離脱を強いられた。

 復帰をしてはケガをするプロゴルファーにとっては地獄のような日々……。「お母さん、またダメだった」と実家に電話で報告をするたび、母親から「最終戦で勝てるからそれまでがんばって」と励まされ、やっとたどり着いた復活優勝だった。

ゴルフ以外で自身を磨き、「息の長い選手」へ

 先日、シーズンオフのイベントで、大山に直接話を聞く機会があった。「地元の宮崎で勝てる、そのための試練だと思って、最終戦にかけました」と、感無量だった当時の喜びを笑顔で振り返った。女子の最終戦はメジャーに位置づけられており、結果として3年間の複数年シードを勝ち取れたことも、今後のライフプランでは大きいという。

「3年シードは大きいですね。来年からは体力面も考えて試合数を絞って、出る試合に集中したい」
 学生時代からゴルフ漬けの生活を過ごした36歳は、2度の大きな故障で試合に出られなかった間、今までにはなかった“考える時間”が増え、視野を広げていた。「ゴルフしか知らないので、いろいろ勉強したいんです」と、英語やダンス、料理やマナーなどのスクールに通うことを検討し、「40歳までには結婚したいですね。候補もまだいませんけど」と笑いながら明かした。

「それと3年後のリオ五輪出場が今の目標なんです」
 3年後には大山も39歳。男子ツアーでアラフォーは珍しくないが、世代交代が顕著な近年の国内女子ツアーでは驚くほど少ないという現状がある。過去に岡本綾子は48歳でツアー44勝目を果たし、岡田美智子の50歳というツアー最年長優勝記録も存在するが…。ゴルフ自体が世代を問わない競技だけに、若手の選手が五輪を目指すこととは違う意味で、大きな挑戦を新たな目標に掲げたことになる。

「たとえ結婚しても子どもはその先ですね。さすがに五輪と育児は両立できないと思うので」と続け、その意気込みの本気度をうかがわせた。
 結婚→出産という女性ならではのイベントを経て復帰し、活躍した選手となると、03年「フジサンケイレディス」に41歳で優勝した塩谷育代まで遡る。今年は大山と同年代の茂木宏美がメジャー制覇後に産休をとった。海外に目を向けるとジュリー・インクスター(米国)、カトリーナ・マシュー(スコットランド)のように母になってメジャーを制した例もなくはないが、現時点、産休明けでツアーを戦い続けることは難しい選択肢といえそうだ。

 ゴルフ以外でも自身を磨き、そして、できる限り現役を続行する「息の長い選手」を目指している大山。決してくじけない彼女のゴルフ人生は、いよいよ来季から“新章”へ入ることになりそうだ。

<文・本橋英治>
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