元ラジャ王者・石井、ムエタイ戦士をKO ラストマッチのゲーオ戦へ闘志=新日本キック

長谷川亮

若きムエタイ戦士を寄せつけず

元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者の石井宏樹がムエタイ戦士を2RでKO 【t.SAKUMA】

 新日本キックボクシング「SOUL IN THE RING XI」が8日、東京・後楽園ホールで行われた。

 第11試合、大会のトリとなる一戦には残り2試合での引退を表明した新日本キックのエース、元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者の石井宏樹が登場。57戦43勝(4KO)14敗という戦績を持つ18歳のムエタイ戦士、ギャティサック・シットサイトーンと対戦した(石井の戦績は82戦59勝29KO13敗10分)。

データ以上の情報がないギャティサックだったが、試合が始まると石井を上回る長身を利してすぐ組みに来る。パンチにもスピードがあり、石井の左ボディーに左フックをすぐさま返し、石井が投げられまいと腰を落とすと、今度は顔へヒジを送ってくる。
 石井は右ローを打ち込み、左ボディーをめり込ませるが、ギャティサックはそれでも荒々しく組みつきヒジを振るってくる。このヒジを被弾した石井だが、1Rは右ローと左ボディーを効かせて終了。

 2R、石井は組みに来るタイミングを初回でつかんだか、組みに来たところへカウンターの右アッパーを合わせてまず最初のダウンを奪う。何とか立ち上がるもダメージのあるギャティサックはいっそう組みに出るが、石井はそこへ左ボディーから右ヒジを斜めに打ち下ろしてノックアウト(2R1分22秒)。自身の、そして新日本キックの1年を締めくくると、「2月に大田区総合体育館でゲーオ選手と試合をします。必ず熱い試合をしますので、ぜひ観に来てください」と、ラストファイトでの完全燃焼をファンに約束した。

日本人無敗ゲーオ戦へ「最終章で伝説を」

引退試合で対戦する日本人無敗の強豪ゲーオ・フェアテックス戦へ闘志を燃やす石井 【t.SAKUMA】

 石井の現役最後となる一戦は、来年2月11日に対日本人無敗の強豪ゲーオ・フェアテックスと行われることが決定。この日はパンチとヒジの被弾が見られた石井だが、控室ではダメージを感じさせず、「キック人生20年の集大成。最終章で伝説じゃないけど、伝えるものを出したい」「(ゲーオに)日本人が誰も勝ってないのが悔しい。ラジャのベルトを獲る時と同じぐらい、それ以上に気合いを入れていかないと勝てない相手。年末年始も試合に集中したい」と話し、現役生活を通じ最高とも言えるほど闘志を燃え上がらせていた。

江幡睦はムエタイ王座再挑戦へKO発進

 また第6試合には石井に続きムエタイ王座戴冠を目指すスーパーツインズの兄・江幡睦が登場。3月、9月とラジャダムナンスタジアム認定王座に挑むも、いずれも惜敗に終わった江幡が、この日は再起戦に臨み79戦56勝(4KO)23敗の22歳、ワンチャイ・シットサイトーンと対戦した。
 江幡は開始から強烈なローとボディーブローを走らせ、初回に右ボディーで最初のダウンを奪取。そして2Rにも右ボディーで2度目のダウンを奪うと、相手コーナーからタオルが入ってTKO。試合後はマイクを取り、弟の塁とともに再びムエタイ王座を目指すことを宣言した。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■新日本キックボクシング「SOUL IN THE RING XI」
12月8日(日)東京・後楽園ホール

<第11試合 日タイ国際戦 3分3R>
○石井宏樹(藤本ジム/元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者)
(2R1分22秒 KO)
●ギャティサック・シットサイトーン(タイ)

<第10試合 日本ウェルター級タイトルマッチ 3分5R>
△緑川創(藤本ジム/日本ウェルター級王者)
(判定ドロー)
△渡辺健司(伊原道場稲城支部/日本ウェルター級1位/挑戦者)
※50−49(緑川)、50−49(渡辺)、48−48
※緑川が防衛に成功

<第9試合 日本フェザー級タイトルマッチ 3分5R>
○内田雅之(藤本ジム/日本フェザー級王者)
(判定2−1)
●瀬戸口勝也(横須賀太賀/日本フェザー級1位/挑戦者)
※49−48(内田)、49−48(瀬戸口)、50−49(内田)
※内田が防衛に成功

<第8試合 日韓国際戦ヘビー級 3分3R>
○松本哉朗(藤本ジム/日本ヘビー級王者)
(判定3−0)
●“ハングリー”ヤン・ヘジュン(韓国)
※30−28、30−28、30−29

<第7試合 日本ミドル級 3分3R>
○喜多村誠(伊原道場新潟支部/日本ミドル級王者)
(3R2分54秒 KO)
●ショーケン(山田ジム/日本ミドル級3位)

<第6試合 日タイ国際戦 54kg契約 3分3R>
○江幡睦(伊原道場/元日本フライ級王者)
(2R1分37秒 TKO)
●ワンチャイ・シットサイトーン(タイ)

<第6試合 日本ライト級 3分3R>
○勝次(藤本ジム/日本ライト級1位)
(1R2分38秒 KO)
●福岡直也(治政館/日本ライト級4位)

<第4試合 日本ライト級 3分3R>
△春樹(横須賀太賀/日本ライト級2位)
(判定ドロー)
△ジョニー・オリベイラ(トーエル/日本ライト級3位)
※3者29−29

<第4試合 日本ウェルター級 3分3R>
○木村旭洋(伊原道場)
(2R1分16秒 TKO)
●TAKEDA(B−FAMILY NEO)

<第2試合 日本フェザー級 3分2R>
○布施木将人(藤本)
(判定3−0)
●太平洋亘(野本)
※20−17、20−18、20−18

<第1試合 日本ライト級 3分2R>
○梅木裕介(トーエル)
(判定3−0)
●里見柚巳(横須賀太賀)
※20−18、19−18、20−18
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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