“帝王”ペトロシアンが初のKO負け…=神興行だったグローリー12リポート

遠藤文康

打倒ペトロシアンを目されていたリスティ

ライト級トーナメント準決勝で“帝王”ペドロシアンにKO勝ちし、優勝まで勝ち上がったリスティ 【(c)GLORY】

 マディソン・スクエア・ガーデンの5000人収容シアターで開催された今大会。当日を迎えるまでにチケットの9割は売れ当日券もほぼ完売となった。今大会の特筆すべきことはアンディ・リスティの優勝に尽きる。“帝王”ジョルジオ・ペトロシアンをセミファイナルでKOに葬り、決勝でロビン・ファン・ロスマレンをもKOに倒しての優勝だった。

 アンディ・サワーがペトロシアンに2連敗した段階で、もはやペトロシアンを破るのは頑強でパワーファイターのロスマレンか野性的攻撃を繰り出す新星リスティしかいないだろうと2年前から予想していた。そのロスマレンは1年前のトーナメントでペトロシアンに攻略され判定に屈した。

ペトロシアン、キャリア初のダウンで初KO負け

3Rにラッシュをかけてペドロシアンを仕留めたリスティ 【(c)GLORY】

 リスティはペトロシアンの落ち着いた捌きと、まとめて繰り出してくるパンチラッシュにペースを乱すことなく自分のスタイルを守った。ペトロシアンの持つ独特なリズムに合わせることなく、手数を絶やさず自分流を通した。そして迎えた3Rにリスティは突如としてラッシュをかけた。これこそが今回の秘策だったのだろう。いつもは序盤に猛攻をかけ終盤にスタミナが切れるリスティ。それが3Rに猛攻をかけたのだ。

 これにはペトロシアンも面食らった。リスティがスタミナ切れしやすい終盤に仕留めようと計算していた節がペトロシアンには伺える。だから想定外の突然のラッシュにバランスを崩され態勢の立て直しをはかったペトロシアンだが、リスティはその隙を与えず左フックからのフォローの右フックでペトロシアンをマットに倒した。天井を向いて倒れたペトロシアンは完全なテンカウントに散った。自身のキャリアで初ダウンが初KO負けとなった。70kgの帝王としての無敗神話の終焉となった。

満席のマディソンを熱くさせた31歳

満席のマディソン・スクエア・ガーデンを熱くさせたリスティ 【(c)GLORY】

 ペトロシアンとの決勝を予想していたロスマレンはこの結果を控え室で聞いてかなり動揺したようだ。両者の決勝ではリスティがロスマレンのパンチ封じにリーチ差を利用した右ジャブと鋭い前蹴りで距離を取りロスマレンを中に入らせない戦法をとった。そして1R終盤にひっぱたくような右フックでロスマレンからダウンを奪った。続く2R序盤にはロープ際に追い詰めて右フックからの左アッパーでロスマレンをマットに沈めた。

 パンチャーのロスマレンをパンチで倒したのだ。ロスマレンはローブから半身を乗り出してKOに散った。トーナメント4名の中で最年長31歳のリスティがグローリー70kgの頂点となった。満席のマディソンの大観衆を熱くさせ、一挙にその名を轟かせたリスティ。グローリー12はまさに神興行となった。

次ページにグローリー12ニューヨーク大会の試合結果・戦評

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