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楽天の敗退に考えるアジアシリーズの意義
田中将大の高い注目度が物語る日本の役割

楽天は初めて決勝進出を逃す結果に

日本勢として初めて決勝進出を逃した楽天。準決勝を戦った統一の高國慶は「反省してほしい」と、主力不在の戦いに苦言を呈した
日本勢として初めて決勝進出を逃した楽天。準決勝を戦った統一の高國慶は「反省してほしい」と、主力不在の戦いに苦言を呈した【写真は共同】

 5つの国と地域のリーグから6チームが参加し、覇権を争うアジアシリーズ。その2013年大会が15日から台湾で行われ、20日の決勝戦で統一(台湾)を下したキャンベラ(豪州)が、豪州勢で初めて優勝を飾った。

 日本シリーズを制し出場した東北楽天は、主力選手を欠いた若手中心のメンバーで臨み、準決勝で敗退。日本勢で決勝進出を逃したのは今回が初めてだ。日本は過去の大会でもベストメンバーをそろえず参加するなど、アジアシリーズの存在意義に疑問を持っている様子がうかがえる。それでは、そもそもアジアシリーズはなぜ始まったのだろうか。


 アジアシリーズは2005年11月、日本野球機構(NPB)主催により、第1回大会が東京ドームで行われた。大会の目的は、「日本、アジア野球の国際化を目指す理念のもと、将来的なクラブ世界一決定戦の実現に向けたうねりになることを期待して」というものだ。

 しかし、実質的主催者の後援企業と冠スポンサーが3年で撤退。08年にはNPB独自で主催するも、09〜10年は中断となった。2年のブランクの後、11年、台湾(CPBL)主催で再開すると、12年は韓国(KBO)、そして今回は台湾で開催された。なお2年の中断期間には、代替として日本と韓国、韓国と台湾でのクラブチャンピオンシップが開催されている。

アジアの頂点を目指す大会になっていない理由

 開始から9年目を迎えたアジアシリーズ。日本ではその存在が年々軽視されているのが否めない。この点について他の地域ではどう見ているか。台湾メディアで長年野球を取材している、中国時報の欧建智記者はこう話す。「日本は主力選手を出すことが最も必要です。選手にとってはけがをしたくないという事情もあるでしょうが、現状、アジアシリーズはアジアの頂点を目指す大会になっていません」。

 また、統一の内野手・高國慶はこう言う。「日本には一生懸命戦ってほしい。そうすれば自分にとっても勉強になる」とし、「今回、決勝戦は台湾とオーストラリアの対戦になりました。主力を出さずに敗れたことを、日本は反省してほしいです」と付け加えた。


 その一方でCPBLの雑誌記者・羅志朋氏は「当初の目標であるメジャーリーグ(MLB)の優勝チームとの対戦が叶わないという、現実的な厳しさがある以上、アジアシリーズの意義が曖昧になるのもしょうがない」と、日本の立場に理解を示した。

 アジアシリーズに対して懐疑的なのは日本だけではない。韓国・サムスンの柳仲逸監督はアジアシリーズに参加することを「負担に感じている」という。「(開催)時期が良くない。緊張感のある韓国シリーズを戦った後に、もう一度気持ちを引き締めるのは難しいです。そして、日本も韓国も外国人選手が抜けるので、戦力的にも厳しくなる。しかしながら、国家対抗戦の側面もあるから、負けるわけにもいきません。負担が大きい試合です」。


 また、サムスンの選手からは「休みたいのに、なんで出なきゃならないの? という声が上がっています」と小山仁トレーニングコーチは言う。サムスンの4番打者・朴錫ミンは「アジアシリーズは選手にとってメリットがない」と答え、選手への参加意義として、柳監督は「優勝したらFA(フリーエージェント)権の取得期間を短縮できるとかを与えないと、選手は本気にならない」と提言した。

 FAに関して言うと、大会とFAの交渉期間が重なっているという問題もある。そのため、11年大会では和田毅、杉内俊哉(当時、福岡ソフトバンク)が出場を回避。今回もサムスンの先発投手、張ウォン三が参加しないなど、アジアシリーズが各リーグ内で公式行事としての位置づけがされていないことが浮き彫りになっている。

室井昌也
室井昌也
1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。

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