元WBCコーチが語る侍ジャパンへの期待=小久保監督が台湾戦に込めたメッセージとは?

構成:スポーツナビ

若いうちの国際経験、大きな財産に

台湾3連戦で4打点の活躍を見せた西武・秋山。若手選手にとって、国際試合の経験は大きな財産に 【写真は共同】

 これまでは直近すぐにWBC本大会があり、シーズンで結果を出した選手を中心にその時のトップを代表に選出していましたが、今回の場合、あくまでも目的は17年WBC。過去3回の侍ジャパンと大きく異なる新たな試みとなります。台湾との3連戦にしても、選手に国際大会の経験を積ませる、というのが第一の目標で、その意味では世界一奪回に向けて、期待が大きく持てる結果だったでしょう。

 国際大会の雰囲気を若いうちに味わうのは今後の野球人生にとっても大きな財産になると思います。また、WBCでは、技術的にもそうですが、精神面で相手を上回る強さを持っていなくてはなりません。そういった“適性”を、小久保監督が見極める良い機会だったと思います。

 選手にとっても、オールスターくらいしか、他チームの選手と話す機会もないので、貴重な経験の場となったと思います。さらに、WBCに向けての競争意識も芽生えさせることにつながると思います。4年後に向けて、まだまだ新しい才能が加わっていくと思いますし、ベテラン勢ももちろんメンバーに必要でしょう。WBCのメンバーに入るためには、誰からも「あいつが侍ジャパンに入るのは当然だ」と思われる成績を残さなくてなりません。今回選ばれた選手もそうではない選手も、これまで以上に切磋琢磨していくことでしょう。そういう刺激を今回の強化試合は与えたと思いますし、プロ野球界全体がさらに一段レベルアップする可能性を感じました。
 また、今回4人アマチュアの選手が選出されましたが、彼らにとってはプロ野球の一線で活躍する選手たちと話す機会は皆無に近いでしょうから、今後の成長にとって非常に大きな経験になったと思います。

日本野球界に植えつけた世界一への意識

 小久保監督は4年の長期政権になりますが、一方でチームとして集まる機会は多くないですね。実際にチームとして集まらないと、小久保監督の考えやチーム編成も見えてこない部分が強いです。ですので、監督・コーチ経験の少ない小久保監督にとって、実戦の経験が多く積めない、次の試合までに間隔が空くというのは不安材料だと思います。
 もっと侍ジャパンの試合数は増やしたいところですが、シーズンオフ中心の活動になると特にピッチャーが大変になると思いますし、実際は年間数試合程度が良いところでしょう。小久保監督としては大変だと思います。
 だからこそ、各チームでの成長がさらなる意味を持っていくことでしょう。侍ジャパンの常設、そして、今回の強化試合は、17年WBCという意識を、日本野球界に早い時期から植え付けることができ、非常に大きな意味があると思います。

 17年WBCで世界一を奪回するためには、ドミニカやプエルトリコなどの南米チームと互角以上に戦えるチーム編成をしなくてはいけません。09年、私がコーチをしていたときのWBCメンバーは「このチームなら負けない」という自信が持てるチーム編成ができました。例えば、イチロー選手という「誰もが認める選手」がチームを支え、そして最後は優勝を決定付けてくれました。世界一をもう一度目指すためには、こうした「誰もが認める選手」の登場が重要となります。今回選ばれた選手たちには、「誰もが認める選手」に成長することを期待したいです。そして、再び世界一を獲得してほしいと思います。

<了>

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