カレンが語る、タイ挑戦の経緯と未来=活躍の自信とイングランドへの憧れを胸に

本多辰成

海外では数字に見える結果がすべて

ACL出場を狙うスパンブリーFC。カレンは結果を残すことができるか 【本多辰成】

――改めて、オランダでの3シーズンというのはどんなものでしたか?

 最初は充実していましたが、途中から勝てなかったという部分で苦しかったですね。試合にも出られなくなったりして、全体としては不完全燃焼でした。

――海外に出て感じたことや得たものは、どんな面だったのでしょうか?

 あまり深く悩まなくなったというか、周りを気にしなくなったというのはありますね。ヨーロッパの選手は自分中心の気質というか、ミスをしても全然気にしないですし、ミスをしていても点を決めればそれでいい。あまり気を使っても、意味がないわけじゃないですけど、ヨーロッパ人のそういうところを見習うようになったところはあります。

 今まではパーフェクトにやろうというサッカーをしていましたけど、結果だけにこだわって、試合に出ている時間のトータルでゴールできればいい、という感じですね。

――「数字に見える結果がすべて」というのは、海外で外国人としてプレーする日本人選手からよく耳にする言葉です

 間違いないですね。もう、数字です。移籍するときも、入口が「紙」なんで。すごく活躍している選手ならいいと思いますが、中堅から下のクラブに行くなら、世界中から紙やメールが送られてきてそれで判断される。プレー内容はその次のステップですからね、そこで見られるのは「数字」。数字が良くないと獲られることはないのかな、というのは今回感じました。

タイで活躍する自信と、古巣への思い

――昨シーズンを振り返って、コンディションとしてはどうでしたか?

 オランダでは毎年コンディションは良かったんです。試合には出られなくても、自分の状態は良かった。個人的にはトップ下が一番向いているんだろうなというのがあるんですが、中途半端に体格が大きいので日本ではトップをやっていましたし、オランダでも最終的にはストライカーとして出ることが一番多かった。そういう中で「蹴るサッカー」だったので、自分にとってやりやすいサッカーではなかったんです。

――では、一時的にコンディションは落ちているけれど、それが戻れば自信はある?

 はい、それはもう。来シーズンは全然問題ないと思います。

――今、タイリーグにはACL(アジアチャンピオンズリーグ)の出場枠も2枠あります。スパンブリーFCにも当然、チャンスはあると思います

 ブリーラム(・ユナイテッド)、ムアントン(・ユナイテッド)という上の2つが抜けていると聞いているので、スパンブリーFCの会長は現実的にはカップ戦(優勝チームにACL出場権が与えられるタイFAカップ)を狙っているみたいです。来シーズンは選手獲得、環境面など、いろいろな面でかなりお金をかけるらしく、「楽しみにしていて」とは言われました。よりいいクラブになるのかなとは思います。

――タイで2年間プレーしてイングランドに再挑戦、というビジョンなのでしょうか?

 そうですね、そのために頑張りたいと思っています。トライアウトでも、イングランドにもう一度挑戦したい。それから、最後は日本で引退したいとも思っています。やっぱり自分のプレースタイルのベースを作ってくれたのは柏レイソル(編注:下部組織に所属)ですし、高校も市船(市立船橋)なので、最後は千葉に戻りたいというのはあります。こればっかりはなんとも言えないことですけど、柏で終われたらいいな、という思いは持っていますね。

<了>

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著者プロフィール

1979年生まれ。静岡県浜松市出身。出版社勤務を経て、2011年に独立。2017年までの6年間はバンコクを拠点に取材活動を行っていた。その後、日本に拠点を移してライター・編集者として活動、現在もタイを中心とするアジアでの取材活動を続けている。タイサッカー専門のウェブマガジン「フットボールタイランド」を配信中。

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