元日本代表が語るラグビーW杯とNZ戦=11.2対オールブラックスいかに戦うべきか
ぜひボランティアとしてワールドカップに参加を
フォーラムの第2部では参加者からの鋭い質問に四苦八苦する場面も? 【スポーツナビ】
村上氏「参加者の方からのご質問を紹介させていただきます。まずは、これはいくつかあったんですが、『2019年のラグビーワールドカップにボランティアとして参加したいと思っているのですが、どのようなボランティアがあるんでしょうか?』という質問です。みなさん、選手としてワールドカップに参加したときに、こんなところにもボランティアの方がいらっしゃったということを実感されたと思いますが、田沼さん、いかがでしょうか?」
田沼氏「僕たちの近いところで言うと、身の回りのことをしてくれる人たちですね」
村上氏「チームに必ず世話役の方がついていて、それはボランティアの方なんですよね?」
田沼氏「そうです」
増保氏「また、ありとあらゆるところでボランティアの方がお手伝いしてくれていますね。グラウンドに入っても、いろんなところにボランティアの方がいて、みなさん忙しくされていましたね。ボランティアの方が本当にたくさんいたな、という印象です。そういう方たちがいたから、僕たちはストレスを感じないで行動できたと強く感じていました。表に出ないような仕事でもボランティアの方たちはたくさんいたんじゃないかと思います」
村上氏「例えばプレスセンターで資料をコピーして配布してくれる方や、道案内をしてくれる方もいましたね」
増保氏「そう考えると、ものすごい人数をかけないと十分なおもてなしはできないと思うんです」
村上氏「ニュージーランド大会ボランティア数は5,564人と報告されています。それぐらいの人数がいるので、今回のフォーラムに参加された方の中でもボランティアをやりたいと思っている方もいらっしゃると思いますので、ぜひ」
増保氏「そうですね、ぜひボランティアとしてワールドカップに参加していただきたいですね」
村上氏「はい。次は松田さんに質問です。『91年〜92年ごろの花園での松田さんのダイナミックなステップを今でも鮮明に覚えています』」
松田氏「自分も鮮明に覚えています!」
村上氏「(笑)。『そんな規格外のプレーヤーだった松田さんに、これまでにない誰もが驚くような観戦スタイルを考え出してもらいたいと思います』とのことですが(笑)」
松田氏「そうですね、なかなか他のスポーツを見る機会がないので……例えば、みんなで新聞を持って応援するとか……」
(会場からは微妙な笑い)
村上氏「今日は会場の空調が故障していて暑いから、みなさんを涼しくしようとしたんですね(笑)。それでこの質問をされた方は、プレーヤーやボールにカメラをつけて、その映像を出して、新しい角度からラグビーを見てはどうかというアイデアですね。実際、最近は海外でレフェリーがカメラをつけたりしていますよね」
松田氏「じゃあ、蹴っても壊れない高性能なカメラを作るとか、リコーが……」
(リコー所属の田沼氏が困惑したような表情で松田氏を見つめる)
全国各地にフランチャイズを置くことは可能か?
田沼氏(右)が所属するリコーが地方に拠点を置くことは可能か? 【スポーツナビ】
田沼氏「なるほど。何かは分からないですが、そういうのがあったらいいだろうなとは思いますね。ハカをやった後の選手の高揚を見ると、試合の直前にああいう気持ちを盛り上げるものが1つでもあればすごくいいなと思います。ただ、何かというのはパッと思い浮かばなくて、すみません」
村上氏「JAPANでは昔、エイエイオー!ってやったことがあるんですよ。大西鐡之祐さんが日本代表監督のときに、いまひとつ盛り上がらなくてやめたということらしいのですが(笑)。
では、『野球が広まった背景に各地の大きな都市にフランチャイズを置いたことがあると思いますが、ラグビーでも全国の各都市に有力チームを置くというのは実現可能なんでしょうか?』という質問です。例えばリコーがどこか別の都市に行くとか」
田沼氏「会社の事情から言えば、全国に会社の拠点があるので事業所スポーツみたいな形にすれば……なんか行く感じになってますけど、僕の権限では何も決められないので(笑)。でも会社さんによっては、そういうことは可能なのかなとも思いますけど」
村上氏「例えば仙台に1つチームを作ってもいいわけですよね?」
増保氏「そうですねぇ、でも現実的に、それじゃあ東芝さんがどこか違う事業所に行くかといったら、それは無理があるように思います。逆に、仙台にゆかりのあるところが、それは企業スポーツなのか、クラブチームなのかは分かりませんが、そういうところがラグビーチームを持ってくださることの方が現実的だと思います」
18歳以上の競技人口を減らさないためには
田沼氏「ここはやはり非常に大事な財産の場というか、その後もラグビーを選択してもらえるようにということで、やり方はいろいろあると思いますが、僕らのようなアンバサダーの立場の人間とか、今、各トップリーグのチームが地方に遠征したときは必ず普及活動とかをしているので、その中でラグビーの素晴らしさだったり、ラグビーを続けていくとこういうところに行けるという話をしています。やっぱり今言えるのは、2019年、今の高校生がワールドカップに出ることもできるという話をして、自分の将来を描いてもらった上で、トップリーグの選手たちがいい試合をする、日本代表が勝つということがすごく大事なことなのではないかと思います」
増保氏「それは大阪のワークショップでもあるお母さんがおっしゃっていましたけど、確かに息子さんがラグビーをやっている間だけという親御さんが多いみたいで、だったら息子さんにラグビーをずっと続けてもらうというのが一番いいのかなと思いますね」
村上氏「もしくは、そのお母さんを何とかアンバサダーの魅力でラグビーに引き止めるというのは?」
増保氏「はい……無理でしょう(苦笑)。もうちょっとマシなのを連れてこないと……。現在のアンバサダー6人はおっさんですからね、引退チームみたいなもんですから(笑)。まあ、でも、今ラグビーに情熱を持ってくださっている方とこういう形でコミュニケーションをとっていますが、将来的にファンを増やしていくために、高校の大会とかに我々が積極的に出て行って、そういうご父兄の方とお話をする場を意図的に作っていかないとダメなんじゃないかなと思いましたね。正直、私たちも分からない部分がありますので、ご父兄の方たちともお話してみたいですね。またワークショップなどを通じてつながりを持てますし、こういうところでのネットワークを広げていきたいですね」
村上氏「さて次の質問です。『半沢直樹効果のようにあのドラマを見ていないと話についていけない、ラグビーを見ていないと話の輪に入れない、というような日本人気質をくすぐるようなアイディアはないでしょうか?』。松田さん、どうでしょう?」
松田氏「なかなかハードルの高い質問ですね(笑)。やっぱりそれはメディアの力が一番大きいと思いますね。例えば漫画とかもそうかもしれないですし、多くの人が見るのはメディアなので、それをどう使うか、出させてもらうかだと思いますね」
村上氏「ラグビー漫画が新しく始まりましたし、これでラグビー漫画は現在2つ連載されているんですよね。そうやってラグビーを盛り上げようとする人はいろんなところにいて、仕掛けはちょこちょこ始めてはいるんですよ」
増保氏「僕たちにもアイディアを教えてほしいですよね。機会があったときに、今日いただいた質問を今度は逆にワークショップなどでみなさんに、どう思いますか?って聞いてみたいです」