楽天「ポスト・マー君」西武は「即戦力」=パ・リーグ、ドラフト補強ポイント分析
楽天の補強ポイントは「ポスト・マー君と将来の大砲」
吉田一将(JR東日本) 【島尻譲】
現在のチーム構成を見ると、43歳の斎藤隆、38歳の松井稼頭央ら多くのベテラン選手を抱える。さらに、マギー、ジョーンズの両外国人、エース・田中の今オフの動向によっては、チームの屋台骨が一気に揺るぎかねない。あらゆることを想定しながら迎えるドラフトとなりそうだ。
まず、求められるは投手。則本昴大、釜田佳直らとともに将来のチームを担っていける存在を獲得したい。また、チームが優勝を果たしながらも、他のチームに比べれば充実とは言い切れなかったリリーフ陣でも、存在感を示せるような投手がほしいところだ。
野手では将来のために、クリーンアップを打てる大砲候補も加えておきたい。左打者は多くそろっているだけに、バランス的には右打者が適切。躍進したチームに相応しいドラフトにしたいところだ。
●スポーツナビ推薦選手
・吉田一将(JR東日本) 今ドラフトで即戦力ナンバーワン投手の呼び声高い。今季の則本のように、ルーキーで主戦の活躍ができる可能性も十分ある。
・園部聡(聖光学院高) 高校球界屈指のスラッガーで、18Uワールドカップでもキューバ戦で2本の二塁打を放つなど、日本の主砲として活躍した。優れた長打力は十分将来の4番候補だ。
西武は今年も「即戦力投手」で決まり
渡邉諒(東海大甲府高) 【写真提供:高校野球ドットコム】
即戦力の活躍もあるが、今季はプロ4年目を迎えた09年ドラフト1位の菊池雄星が待望のブレークを果たすなど、チームは良い流れの中にある。菊池はシーズン途中に故障離脱したが、岸孝之、牧田和久、十亀剣といった若い投手でローテーションを組めているのは、他のチームと見比べても際立つ強みだ。野手でも正捕手・炭谷銀仁朗に浅村栄斗、秋山翔吾ら若手がチームの中核をなしている。
過去5年のドラフトにおいては、2位までに指名した計10人中9人が投手。その内5人が社会人出身と、駒をそろえるのに注力していた印象が強い。いまだにチームの課題として残るリリーフの弱さが改善しきれていないだけに、今季のドラフトも、その傾向が続くとみる。
一方の野手については10年の秋山(ドラフト3位)、11年の永江恭平(同4位)のように、最上位指名でないながらも、すぐに頭角を現してくる選手のチョイスに注目したい。
●スポーツナビ推薦選手
・吉田一将(JR東日本) 191センチの長身から投げられる最速148キロのストレートを両サイドに投げ分けられる制球力は、すでにプロ野球界でもトップレベルか。即戦力として開幕ローテーションも十分可能。
・渡邉諒(東海大甲府高) 走攻守にレベルの高い大型内野手で、18Uワールドカップのキューバ戦で見せたレフトへのホームランは、木製バットへの適応力の高さも証明した。固定できていない「ポスト・中島」のショートとしても期待できる。
ロッテ「井口らベテランの次を任せられる中軸」
内田靖人(常総学院高) 【写真は共同】
年齢的には、38歳の井口資仁をはじめ、福浦和也、サブロー、里崎智也と、特に野手に36歳オーバーのベテランが多い。彼らに次ぐ存在感を示す選手が出てきていないのが気になるところだ。外野は角中勝也、岡田幸文、荻野貴司、伊志嶺翔大に、清田育宏、さらにファームにはイースタン打率4位の加藤翔平も控える充実の陣容を備えるが、井口らとともに中軸を任せられるタイプに乏しい感は否めない。
投手陣も、今季は中継ぎで奮闘するルーキー・松永昴大に、育成出身の西野勇士という新星も登場したが、あと一枚二枚、他チームのエース級とも張り合えるような投手が欲しいところだ。
スピード自慢の選手はそろっているだけに、右打ちのスラッガーが標的になる。もちろん、投手の補強も必要不可欠。近年のドラフトで獲得した期待の即戦力投手が中継ぎの一角に収まってしまっているのは不満が残る。不動の先発ローテーションとして1年目から働けるような即戦力を確保できればひと安心だが、果たして――。
●スポーツナビ推薦選手
・内田靖人(常総学院高) 高校日本代表の4番打者で、185センチの大柄な体格と豪快なスイングが持ち味。一発も期待できる打撃力が魅力だ。将来は中軸も任せられる。
・岩橋慶侍(京都産業大) 140キロそこそこながら、キレのあるストレートは球速以上の威力。3年秋、4年春と2季連続リーグVに導いた大学球界屈指のサウスポーの一人。