楽天「ポスト・マー君」西武は「即戦力」=パ・リーグ、ドラフト補強ポイント分析

ベースボール・タイムズ

ソフトバンクは「次代のエース候補の獲得」が不可欠

大瀬良大地(九州共立大) 【島尻譲】

 豊富な戦力との前評判だったが、結果的には4位に終わったホークス。秋山監督の下、再び黄金時代を作り上げるためにチームは若返りの最中といった状況だ。
 打線は今季一気に若返った。内川聖一、松田宣浩、長谷川勇也といった“アラサー”が存在感を示す一方で、今季は新たに23歳・中村晃、22歳の今宮健太の1、2番コンビに、25歳の大砲・柳田悠岐がブレーク。野手陣にはフレッシュさにあふれた楽しみな面々がそろう。
 問題は投手陣だろう。エース・攝津正の充実ぶりには目を見張るが、“次”の投手に苦しんだ。期待のドラフト1位・東浜巨が終盤に存在感を見せたが、2桁勝利投手が1人のみだったという事実は重い。覇権奪回のためには、投手陣の大幅なテコ入れが必要になる。

 現状を考えると、先発を任せられる即戦力投手の指名が今年のドラフトの重要課題になることは間違いない。野手陣は順調に育っているだけに、次代のエース候補と言える有望な新人投手を加え、他の若手投手にも刺激を与えたい。

●スポーツナビ推薦選手

・大瀬良大地(九州共立大) 九州地区に強みを持つソフトバンクだけに、地元のスター候補、大瀬良になるだろうか。決め球のスライダーに、緩いカーブやチェンジアップも操り、奪三振力も高い。

・梅野隆太郎(福岡大) 大学日本代表の主将を務めるなど、そのキャプテンシーは魅力的。攻守にレベルは高く、正捕手・細川亨の座を脅かす存在になってくれる可能性もある。

オリックスの補強ポイント「金子に次ぐ柱候補」

浦野博司(セガサミー) 【島尻譲】

 今季も最下位争いを繰り広げてしまったオリックス。“要所”を生え抜きが占めるチーム状況は決して悪くない。投手では、エース・金子千尋が存在感を示し、守護神・平野佳寿も29歳と働きざかり。若手も西勇輝、松葉貴大と左右の柱候補がいる。結果がついてこなかったと言えばそれまでだが、ベテランや外国人選手に頼り切るような状況ではなかったのは確かだ。
 野手でも、正捕手・伊藤光が打率2割8分5厘という成績でシーズンを終え成長を感じさせた。主力の糸井嘉男、李大浩、バルディリスも他のチームの主力に比べてそん色ない成績である。

 過去5年のドラフトで全指名選手の半数以上を社会人(独立リーグ出身者含む)が占める。今季も即戦力と名高い選手たちが候補に挙がっており、同様の指名が濃厚。チームの雰囲気をガラリと変えられるような、新たな「チームの顔」候補を獲得したい。

●スポーツナビ推薦選手

・東明大貴(富士重工) 最速153キロのストレートに、スライダー、フォークなど多彩な変化球も魅力。即戦力の期待が高く、先発・中継ぎどちらでも対応できそうだ。

・浦野博司(セガサミー) 最速151キロのストレートと縦の変化球は一級品で、細身な体ながらスタミナは豊富だ。金子、西に次ぐ、先発ローテーションの柱に十分なりえる。

日ハムは「即戦力投手」の獲得、特に「左腕」

秋吉亮(パナソニック) 【写真は共同】

 北海道日本ハムは昨季のリーグ優勝から一転、今季は苦しい戦いを強いられた。常勝軍団となるべく、弱点を埋め、仕切り直しでの再出発が必要になる。
 ケガで道半ばにはなったが24歳の4番・中田翔がさらなる進化を遂げ、26歳の陽岱鋼には貫禄すら漂い始めた。この2人を中心に、西川遥輝や、近藤健介、そして“二刀流”の怪物・大谷翔平と若手野手陣には大きな期待を持てる。
 問題は投手陣。今季はトレード加入1年目の木佐貫洋が奮闘したが、エース・武田勝がまさかの不振で、昨季のリーグMVP・吉川光夫もピリッとせず。投手陣には大幅な改革が必要になる。

 チーム再建へ、最も手っ取り早いのは先発ローテーションを担える即戦力投手の獲得だ。今季の停滞感を打破できる新人選手を上位で指名したい。特に現チームには左腕が不足気味。譲れない補強ポイントになる。
 近年、ドラフト会場を沸かし続けてきた日本ハム。「その年の最も優れた選手を指名する」という方針に変わりはない。では、誰が一番なのだろうか――。

●スポーツナビ推薦選手

・岩貞祐太(横浜商大) 評価を上げている大学ナンバーワン左腕。大瀬良の影に隠れているが、実力はメジャースカウトも認める。出どころが見えづらいフォームも評価は高い。

・秋吉亮(パナソニック) 右サイドスローから最速149キロの伸びのあるストレートとスライダーで打ち取る投球が持ち味。即戦力の期待は高い。

<了>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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